中学生になってすぐの時期に多感な若者が掛かり易い特有の病(厨二病)に元気よく疾患した。
一人称が"我"だった過去を消し去りたいし、自作の"予言書"を書いていた過去の自分を殺したい。
銀髪のウィッグを被りカラコンを付けて深夜(特に新月の夜)に真名(まな)を名乗りながら街を徘徊したりしていた。
また、何かが起こるたびにそれっぽい詩と予言交じりの意味深なセリフを自己陶酔に浸りながら語っていた。
両親もその手の病気に罹った経験があり、娘のこの様子を微笑ましく見守っていた。そこは止めろよ。

途中で正気を取り戻しつつあり、自分の闇を見つめ直し始めた矢先に...オーヴァードへ覚醒する事件が起きた。

中学3年生の冬、夢主として最高潮だった。そんなある日悲劇が起きた。
夢小説と読書感想文と間違えて提出してしまい、それを授業で朗読されるという公開処刑を受けたのだ。
目の前が真っ暗になった。顔は真っ赤で真っ青だった。その強いストレスからオーヴァードへと覚醒した。

その後暫くの間はUGNに所属しエージェントとして活動していた。

高校入学に際して脱オタを徹底し、自分の趣味と表向きの線引きをしている。

覚醒してから一年と経たずにエージェントとして認められている。
日常を人知れず守る秘密結社。そこに所属する異能者...憧れていた存在になれた彼女が熱中したのは言うまでもない。完全に趣味。
恵まれた能力は何一つなかったが"好き"という一点のみが突き抜けていた。
足りない能力は自分自身に改造の施術を行って補った。
その上で研鑽を積み、情報収集にも戦闘でも活躍できるエージェントとなった。

ジャームの排除(実質の殺人)や命のやり取りを"憧れ"というもので許容できてしまう子を普通と呼べるかどうか。

友人と自分の状況が記憶処理にある、という事が判明した後は、UGNを離脱している。
装置として必要である事は理解しているが、だからと言って受け入れられるかどうかは別問題。

イジメられている訳ではないが陽のオーラが本人に眩し過ぎて近寄れない。
お昼ご飯は中学校からトイレの個室で食している。誰の視線もないって安心する。
そんなだから部活は当然入れていない。帰宅部。

でも青春には強い憧れと偏見がある。友達とカラオケとか行ってみたい。
陰の者の自分には縁のないものだと思ってるけど憧れてはいる。誘われても過呼吸で死ぬけど。

自分がだらしなかったり学業を疎かにする事で、好きなアニメや漫画に偏見をもたれないように努力している。
毎日のランニング、筋トレ、予習復習はきっちりこなしてる。
オタクが馬鹿にされない様に、ひいては自分の好きなものが馬鹿にされない様に。
動機は兎も角、学生としては優等生。自己肯定力だけはどうしようもなかった。

父親は考古学者で母親は国際弁護士。
世界中を忙しく飛び回っており、家に戻るのは年に右手で数えられる程。
週に一度はビデオ通話で会話を取り合っているので、家族仲は悪くない。身内には饒舌。
親の仕送りは過保護なのか一般的なものより高額。

生活費をやりくりして捻出した小遣い元にオタメイトというネカフェ兼アニメ・漫画専門店運営していた。
年会費はそこそこするが痒い所に手が届く品揃えとサービスが好評。名義は親。
UGNの任務の為というより個人の趣味の色が強く、偶然実用性が生まれた産物。
基本的に個人用のデータ。他人に勧めるとオタバレする...つまり(社会的に)死ぬ。

UGN脱退後は売却し、小さな事務所で探偵業をしつつ情報を探している。