容姿・経歴・その他メモ

「バーン！…びっくりした？　あははっ！こんなの、ヒトに向けるわけないじゃん」

鰺宮家は、江戸から続く武器商人の家系であり、銃器の売買を生業とし、一時は財閥にまで派生した家である。
現当主の政道は、海外を拠点に、アメリカ、ロシアなどから粗製のAKやARを買い取り、自社でパーツにバラシて精製、パーツのまま反政府組織に売りつけるというビジネスを行っている。
一人娘である楓も、英才教育によって銃器や、言語、ビジネスを学ばされた。
転機はおよそ10年前だ。イラク戦争も終結し、戦争屋としてのビジネスも落ち着きを見せたため、鰺宮家は一度日本へ帰国する。
楓は高校生活を日本で送れることを喜び、この頃を人生の絶頂と語るほどに楽しんだが、それは突如として砕かれ、楓を非日常へといざなった。
実はその裏で、鰺宮政道は、UGN日本支部から資金提供の依頼を受けていたのだ。当時のUGN日本支部は岩倉成美の統制の元、強さを重点に再編が図られていた時代。UGN幹部は、黒い噂はあれど、確かな資金源を持つ鰺宮家を頼ったのだ。その際に、交渉材料として、政道には世界の真実、レネゲイドについてが明かされた。政道はそれを快諾。資金提供を約束し、引き換えに、武器と、それに感染する可能性のあるEXレネゲイドの研究に携わる機会を得た。
唯一の誤算は、政道がレネゲイドの性質を甘く見ていた、ということに尽きる。彼の持ち込んだ火薬に、レネゲイドは寄生し、楓も生活する家に入り込んでしまったのだ。レネゲイドに侵蝕された火薬は、成長するように弾丸を取り込み、果てには飾られていたモデルガンに宿主を移す。

事故、というには、それはあまりに鰺宮楓という人間を狙い撃ちにしていた。生い立ち、環境、タイミング、運。正しく運命がそうさせたのだろう。
鰺宮家が、UGNに本格的に協力するために、別邸を構え、そちらにいくつかの家具を移そうと荷物をまとめている時だ。楓もそれを手伝った。手に取ったモデルガンは何度も見慣れた、廊下の顔の一つだ。だが、楓は微かな違和感を抱き、咄嗟にそれを手放そうとする。遅かった。銃は暴発し、発射されないはずの実弾が楓の腹部を貫いた。
政道が気付き、楓は直ぐに病院へ搬送され、治療はなされた。意識を取り戻し、全治2か月と外科医に言われたところに待ったがかかる。
気付けば、見知らぬ人間が病室にいた。黒いサングラスをかけた、目つきの鋭い女性だ。なぜだか楓はひどく冷静に彼女を観察していた。
筋肉質、人嫌い、古傷がある、火薬のにおい、人を殺したことがある。
傍から見れば、呆けている様にも見えただろう、無言のまま目の前の女性を見つめていると、女性はため息と、心底嫌そうな声をこぼす。

「感染はしてると思った。が、もう覚醒の前兆か」

楓はその一言で、思考が過去と未来を行き来する。父の言動がある日を境に変わったこと、彼女の雰囲気、気付けば倒れている外科医、不自然に塞がっている傷、あり得ない暴発をしたモデルガン、回り続ける頭。

「鰺宮楓さん、なにか言いたいことがありそうですね？」

口は自然と開き、追従して喉が震える。

「この世界は、終わっている」

黒いサングラスで隠れている筈の目は、見開かれているのが分かる。

「ご名答だよ。ようこそ、世界の裏側へ」

それからというもの、「十中八九ノイマンだ。全部ぶちまけたほうが早いな」との言葉を皮切りに、レネゲイドの存在と、真の世界情勢についてを知る。

政道とは気まずくなり疎遠になる。また戦争が始まり、政道は拠点を海外に戻したようだ。楓は、日本で政道の後を引き継ぎ、鰺宮としてUGNへの資金提供を続け、また個人として、幼少からの経験とノイマンの能力による発想を活かし、武器やアイテムの開発部に入る。
そのときに、同期として石戸計と知り合う。優秀で、謙虚。そして世界のために涙を流せるほどには優しい男だった。彼は、同じ時期にレネゲイドに感染し、UGNに参入したことに親近感を覚えていたようだが、かたや根っからの一般家庭の出、かたや、幼少から火薬のにおいにまみれた戦争屋の生まれ。まるで正反対だと思ったが、それでも拒絶する気にはなれなかった。振り返ってみれば、4年もの時間、同じ道を歩いていた。分かれ道は、彼がEXレネゲイドの安定した感染とその制御という分野で認められ、遺産管理部のスカウトを受けて転属したことだった。栄転に、心から門出を祝った。しかし直ぐに、遺産に関する事故で、石戸が命を落としたことを知る。全く予測できない経路で感染した遺産に貫かれた彼の遺体を見て、かつての自分に重ねてしまう。
兵器の開発に嫌気がさしていた中、藤堂に誘われ、レネゲイドの脅威にさらされている一般人を直接守護し、保護することが出来るエージェントになることを決意する。
エージェントとなってからは5年が経過している。

コードネームの由来は、千石(戦国)遊人　千石という富の象徴を持つ遊び人、戦国で遊ぶ人のダブルミーニングであり、ボードゲームの一種でもあるウォーゲームにもちなんでいる。

セッション履歴