「はぁいどうも〜､みんなのヒーローニムリムちゃんでーす♡」
「本日はインタビューに協力して頂き､ありがとうございます！では早速質問ですが、どうしてヒーローを志したのでしょうか？」
「簡単ですよ､私が他の人よりも強いからです。強い人が弱い人を護ってあげるのは、当たり前じゃないですか〜」
「流石トップヒーロー！意識が違いますね！では今後のヒーロー活動で、何か目標はありますか？」
「そうですね〜、この世界には､誰かを不幸にする事を楽しんでる悪い奴がまだまだいっぱいいます、なので､そいつらの脳みそを全部ぶち撒ける事が目標です！悪い奴らが居なくなれば､世界中の人はみんなハッピーになる事間違いナシです！」
「なるほど…でも一部からは対話での解決を望むべきという声もありますが…？」
「んーそうですねぇ､ではそういう人達に質問なんですけど、台所にゴキブリが出た時､そのゴキブリに向かって「出て行って下さいお願いします〜」って説得しますか？しないですよね？悪人共は言葉は喋りますが話は通じないので、ゴキブリと一緒です！さっさと叩き潰しましょう！」
「そ、そうですか、本日はインタビューにご協力頂き､ありがとうございました！」

　世界はどこまで行っても真っ暗で、悪意に満ちている。
　悪意の芽は摘んでも摘んでも絶えず芽生え続け､いつしか私は、この世界は悪意を育む畑なのではないかと思うようになっていた。
　生物は飢え､満たされるために誰かから奪う､そこに悪意も何もなく､ただ生きたいという意志のみがある。そう、ただ生きるだけでも何かから奪い続ける必要があるのだ。
　ならいっそ､全ての生きとし生けるものを､この無間地獄から解放させてあげるべきでは？

　やはり、過去の私は間違っていなかったのかもしれない。生きる意志が悪意に成るのであれば、全ての生物から生きる意志を奪う悪魔に成ろう。
　幸か不幸か､私にはその力がある。

　一言で申し上げるなら､彼女は非常に優秀な人物である。
　常に冷静で､人を殺す事に躊躇いがなく､自分の命が危険に晒される状況に置かれても一切パニックになる事もない。
　場合によっては周囲の的確な指示も出せるし､何より､その性格の明るさが士気を上げるのにも繋がっている。
　軍人に必要なものを全て兼ね備えていると言っても過言ではない。だがそれ故に、危うさもある。もし彼女が我々の手から離れた時､何が起きるかは想像もつかないが、少なくともいい結末にはならないだろう。
　彼女の力は強大だが、その手綱を固く握っておく必要があると私は考える。
　最早一人のオーヴァードではなく、一つの自律兵器として扱うべきなのかもしれない。