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「今はこれで……良いのだろうか」
コードネームは「STRAY SHEEP(迷える羊)」。かわいい。
UGNに加入してから、人生のほとんどをUGNに捧げてきたと言っても過言ではないUGNエージェント。UGNの実験によって覚醒し、以来ずっとUGNで日常を護るために戦い続けている。経験としてはベテランでもある。
少し口数少ないところはあるが、心優しい男性。胃痛案件を任された可哀想な人。
UGN穏健派に属するエージェントで、UGN本部所属の彼は、霧谷雄吾からとある支部の支部長不在を預かる任を授けられ、支部にやってきた。住所を教えられてそこへ向かうと、気迫の鋭い掛け声と弾けるような竹刀の音が鳴り響く。そこは剣道場だった。
支部のエージェントの案内で、畳の裏のはしごを降りた彼は、あっけにとられてぽかんと口を開けたまま固まってしまった。
そこは「忍者屋敷」。様々な仕掛けが支部長によって施されたれっきとしたUGN支部であり……可哀想な「迷える羊」がこれから支部長代理としてまとめなければならない「イロモノだらけの支部」だった──。
●出自:疎まれた子
家族からは、疎まれて過ごしてきた。それが彼の心に影を落とし、若干の自虐的思考に結びついたと言っても過言ではないだろう。
そのために、彼は、ある日──UGNの実験にわが身を捧げてしまった。
●経験:UGNへの忠誠
●覚醒:素体
家族には見捨てられ、苦学生となった人生に衣食住さえ不安が生じ、自暴自棄になっていた学生時代。治験バイトを隠れ蓑にして実験体を探していたとある過激なUGN研究団体の勧誘に引っかかり、怪しさに顔をしかめながらも、契約書にサインをした。
頻りに身寄りはいないか、あるいは無事を案じる家族はいないかと聞いてくる相手に投げやりに「NO」と答え続ける。どうせ自分がどうなったって気にする人間はいない。聞かれるだけ気分が悪いだけだった。
そうして、数日間指定された寮の部屋を貸し出され、衣食住を保証してもらえる生活を送った。皮肉にも、その間は何も心配事を抱えなくてよかった分、気分がよかった。
間もなく実験が始まった。病衣を着せられ、真っ白な手術室のような場所に通されると、ベルトで寝台に手足を縛りつけられる。一抹の不安を抱きながら、ただただ従った。
長く針の太い注射器で、赤黒い液体が静脈注射される。それが終わると、誰もいなくなった。
しばらくして、ドクン、と心臓が高鳴り、体中を激しい苦痛と衝動が襲った。
後悔しても後の祭り。自分の額に、無情にも無人狙撃銃のレーザーポイントが当てられる。
その時に初めて、「死にたくない」という原初の感情を味わった。寝台の上で死を目前に藻掻き苦しみながら、必死に「死にたくない、生きたい」と願いを口にした。
──どのくらい苦しんでいただろう。病衣を染み出した汗が寝台を流れ落ちて、尻を伝い落ちるのを感じる。いつの間にか、苦痛を忘れていた。
見計らったかのように入ってきた人間が、寝台から自分を助け起こす。
「おめでとう。あなたは覚醒しました」
「覚醒」という言葉の意味が解らず呆然としていたが、ただ祝福されたことだけは、そして、「生き残った」ことだけは、確かに実感していた。湿って気味の悪い病衣を着たまま処置室を出ると、白衣を着た人間たちが自分の前に並び立って手をたたいて喜んだ。「実験は成功だ!」「覚醒だ!」……何のことだか分からなかったが、それでも、自分のことを喜んでいることだけは確かだった。
生まれて初めて祝福された気分だった。生まれて初めて、自分の存在が喜ばれた気分だった。
自然と、頬がほころんだ。
それから。オーヴァードに覚醒した彼は、日常生活に完全に戻ることも禁じられ、UGNに加入してエージェントになった。
しかし、彼はUGNという組織に何も疑問を抱かなかった。連帯感すら感じていたほどだ。
この組織はこの世界で唯一、自分を必要としてくれる。自分を認め、自分の存在をありがたがってくれる。
それが、不思議なほど心地よかった。
この世界で、オーヴァードの人権と日常を護るというコードウェル博士の理想を妄信さえしていた。
──だからこそ、コードウェル博士の裏切りは……彼を迷える羊へと変えてしまった。
●邂逅:主人:霧谷雄吾
理想を共にしていた主人を失ったUGN。そこに取り残された彼は、自らの行動指針の喪失に惑いながら、UGNを離れることはできなかった。UGNを離れたとして、FHに転向したとして、自分に何ができる?UGN内部に築いた自身の地位を失うことも怖かった。
彼はひとまず、霧谷雄吾、藤崎弦一に倣い、UGN穏健派に属して行動している。
この世界がどこへ行くのか、自分にはわからない。
それでもただ、日々を戦い続ける。思考停止かもしれないが、それこそが、自分に出来ること、自分に残された道なのだから。
●衝動:飢餓
心にはいつも埋まらない穴がある。自分はどうすればよいのか。自分はどこへ行けばよいのか。自分は。
ただ目の前のことに集中しているが、時折、どうしようもない無力感と孤独感に苛まれることがある。
この変わり果てた世界の中で──自分が存在できる場所は?
基本ルールブックに掲載されている完全支援型サンプルキャラクター。個人では攻撃能力を持たないところが何とも愛らしい。
エフェクトに経験点を割きすぎて攻撃が当たらなさそうなアタッカーの居る陣では非常に活躍すること間違いなしである。ただ、《要の陣形》の性質上、自分を除いた味方が3人は必要なので、支援型を持って行くのは少なくともPL4人がいる卓である。それでなければ支援なんかせずに火力要員を素直に持って行った方がいい。
というわけで組んでみました。オルソラ支援型。これまた鉄板中の鉄板。
しかし無難どころを攻めるとまたどっかで見かけたようなステキなエフェクト構成になる。
しかもこれの何が良いって支援屋らしくオルクス×ソラリスの構成は【社会】が非常に高めなのである。ミドルの情報収集や購入判定でGのごとくしぶとくカサカサできる。
財産ポイントが潤沢で大変よろしい。せっかくなら色々とアイテムを持ち込むのもいい。だが、シナリオ中に補助としても使い道はあるので、そのまま持ち込んじゃうのもありですね。シナリオ見てコネの何を持って行くといいか考えてみよう。自動車とか要ります?
おすすめワークス:【肉体】0の穴を能力値ボーナスで埋められるもの。ただし、《さらなる力》の導入を考えるなら【肉体】に加え〈RC〉2がついている「高校生」がおすすめ。
おすすめDロイス:「起源種」
●っていうか元のサンプルの行動値低すぎだろ……いくら次のメジャーアクションにかかればいいからって……というわけでソラリスの《アクセル》を使ってセットアップで行動値を+10するかわりに感覚から能力値を払い戻しました。基本は自分にかけてメジャー支援に移る構成です。
パーティー最大の行動値の高さがそんなに高くなかった場合は、あるいはもう少しレベルを下げてもいいとか感覚にもう少し能力値を振る必要がでてくるとかあるので、そのあたりは調整が必要になると思います。
●《要の陣形》はもはやこれがためでなければなぜオルクスのクロスブリード支援型にしたのか分からない必須級エフェクト。これがある事で、対象が単体のメジャー支援でも3人に一気にバラ撒くことができるという有能さ。ノイマンの支援型がどうにもそのあたりニガテなのを考えると、気楽に支援をまき散らせるというだけで価値がある。
なお、リミットエフェクトの《未知なる陣形》もあり、これは組み合わせた行動の対象をさらに増やして5体にするというもの。PCが増えて5人になり、支援があぶれちゃうと言った時にとればいい。《要の陣形》自体の最大レベルが3のため、結構取りやすい部類なのではないかということもかんがえるとやっぱり強い。
●出ました《力の法則》。《力場の形成》とか《領域の加護》とかとにかく味方の火力補助はたくさんありますが、せっかくオルクスならこれが安定です。たぶん。
あとソラリスもライト版《力の法則》と呼べるであろう《力の霊水》というエフェクトがある。こちらも+[LV]Dでありつつ80%制限のエフェクトなので、まぁソラリスピュアとか組みつつ支援したかったらこれが候補に挙がるのではないだろうか。
因みに《戦乙女の導き》はダイス補助と火力補助も請け負う。でもまぁ攻撃力補助は+5なのでまぁうん。おまけかな?
●《妖精の手》は軽率に取っておいて損はない激つよ保険なのでレベルを上げて軽率に振り回しましょう。リミットエフェクトの《妖精の輪》でさらに保険をかけるもよし。余裕があれば。
●《領域の盾》は味方に庇わせるといったトリッキーなエフェクト。ダメージリソース管理の補助に。《領域の守護者》を組み合わせて射程を視界に変更したりできます。
●《拡散する世界》は、味方のメジャーアクションの対象をシーン(選択)に、射程を視界に拡散させる。大体は単体バ火力の味方の攻撃を広範囲に及ぼしてそこら中焦土にさせてしまうといった悪用になると思う。対応できないGMだったらもしかしたら完封しちゃってアラ大変になるかもなので運用には気を付けようね!!!
●《癒しの水》は回復量が若干精神に依存するが、+じゃあってもなくてもせいぜいってところなのでおもいきって精神を抜きます。
リミットエフェクトの《ソーマの雫》があるので、トライソラリスの回復タイプならこいつを組み合わせてベホイミしてもいいかもしれない。ただ、味方にDロイス「復讐者」などがいると寧ろ火力を邪魔してしまうことになるので注意。
というかまぁ、大抵ワンパンくらいで殺されることも多いし、よほど味方の構成が《癒しの水》なんかの回復を必要とするものでなければ無難に火力に重点を置いた方が良いとは言う。
あ、なんと《世界樹の葉》はオルクスのエフェクトです。因みにライトヨモツヘグリなのでこれも非オーヴァードをオーヴァードにする可能性があるよ。シナリオを軽率にしんどくしたくなったりしたときに軽率に使えます。使ってみてね。イージーじゃないので、完全な趣味でとるには高いけれども。
●ソラリスにはやけに対象復活エフェクトが多い。120%制限の《アクアウィターエ》とか。《ヨモツヘグリ》とか。
だがまあ安定は《奇跡の雫》だろう。1シナリオに1回だが対象のロイスを守ることが出来る。
回復だと《捧げる生命》とか。
●この先の導入候補として、《さらなる力》がある。こちらは行動済の味方に再び行動させるというもの。〈RC〉判定で珍しく「20」という難易度がついているが、妖精の手を使ったりすればさほど問題ではない。