ヴィランズイヤー真っ只中のある日、とある研究施設にて一体のレネゲイドが産声を上げた。
願星と呼ばれたそれは、まさしく人工遺産と呼ぶにふさわしい代物であり、全てを叶える願望器としてヴィランに対抗し、ヴィランズイヤーを終わらせるために作られ、その願いを叶える…はずだった。
願星が完成する直前、とあるヴィランが研究施設を襲撃。
己を巨大な大蛇に変えるそのヴィランにより研究施設は壊滅し、そのまま願星も破壊され、全ては跡形もなく消え去るはずだった。
しかし、全てが破壊される直前、誰かが願った。
「あいつを…倒して」

願いは、星へと届いた。
その日、不完全だったはずの願星は目覚め、その願いを叶えるため動き出した。
願星とヴィランは三日三晩殺し合い、そして願いは果たされた。
ヴィランは倒れた。しかし、不完全であった願星もまた限界を迎えた。
互いに滅びを迎えるその時、崩れ行く身体でヴィランが言った。
「…お姉ちゃんにまた会うために……私はまだ、生きたい…こんなところじゃ死ねないぞ…！」
同じく消えゆく身体で、最期に星は星自身の願いのため、まだ人であったそのヴィランの願いを叶えた。

星は、器を欲していた。
消えゆく身体を押しとどめるため。
ヴィランは、命を欲していた。
己の願いを叶えるため。

願星はそのヴィランの身体を器にするため、ヴィランはその命を喰らい、蘇るため。
互いに互いを喰らい合った。
人と星の二人は混ざり、そして一つになった。
互いの願いを叶えるため、互いの大切なものを差し出した。
気が付くと、そこに立っていたのは一人だった。

願星は器を、そしてなにより心を手に入れ、人になった。
代わりに己の力の大部分を失った。
ヴィランは命を繋ぎ、死して消えるはずだった未来を手に入れた。
代わりに己の肉体を失い、人を辞め、影として星に宿った。

こうして星は堕ち、人になった。
けれども、在り方は変わらなかった。

人に堕ちた星を目覚めさせたのもまた、願いだった。
「あいつを倒して」
「死にたくない」
「「「誰か…助けて」」」


人間は好きだ。
そして、その滑稽な願いも好きだ。
彼女はその願いを叶えていった。
己に宿る影と共に傷を癒し、悪漢を倒し、人々を助けた。
いつしか、彼女はヒーローと呼ばれるようになった。
彼女にとってそれは己に向けられた願いを叶え続けただけだった。
しかし、何故だか悪い気はしなかった。

今日も彼女は助けを求めるその願いを叶え続ける。
願星として、全ての願いを叶えるために、また星として空に輝くために。

名称：きらりヒーロー事務所、きらりプロダクション
略称：きらプロ
リーダー：願星きらり
組織形態：きらりが所長を務め、少数の従業員とヒーローによって構成されているヒーロー事務所。所属しているヒーローの知名度の割には規模は小さく、基本的にはきらりを含め数人のヒーローが所属しており時々増減を繰り返している。
また芸能事務所としての活動も行っており、所属しているアイドルヒーローのマネジメントやタレント業をサポートしている。