黒羽家に生まれた三人娘の長女。両親は猛(たける)と幸子(さちこ)、妹は一歳下の咲良(さくら)と二歳下の秋葉(あきは)。
黒羽家はキャリア・ノンキャリア問わず、多くの警察官を多く輩出した名家であり、両親もその例に違わない。
両親は共に警視であり、家を空ける事が多かった。そんな両親に代わり、妹達の面倒も見ていた。
両親から教わった"警察は道を踏み外した人を律する為の存在"という言葉を大事にしており、現在の由季の根幹を成している。
警察の役割を全うする両親を誇りに思っており、自身もいつか"過ちを犯した人を律する存在"になりたいと考えるようになった。

警察官になるべく大学へ進学した由季。一年後には咲良が、二年後には秋葉も続いて入学し、姉妹共々研鑽を積んでいた。
図書館での勉強を終えて三人で帰宅していたある日、暴走して人を襲っている人ならざる異形(ジャーム)と遭遇してしまう。
妹だけでも逃がす為にジャームを撒こうとする由季だったが、力の差は歴然であり、行き止まりにまで追い詰められてしまう。
死の時が近づいている事を本能的に悟る由季であったが、妹達を守れる力が欲しいという思いだけは煌々と燃えていた。

そんな由季の強い想いが体内に宿っていたレネゲイドを呼び覚まし、由季は超越者(オーヴァード)として覚醒する。
由季の手元には禍々しい赤い色のクロスボウが出現し、赤色の矢をジャームに向けて幾度も射出した。
数十発の矢で射抜かれジャームは沈黙したが、由季の身体にかかる負担も尋常ではなく、由季は倒れてしまった。

姉が身を張って妹達を助けたように、妹達もまた姉を助けたいと強く願った。その結果、咲良と秋葉も超越者として覚醒した。
妹達の尽力により由季は一命を取り留め、その後はレネゲイド反応を感知したUGNエージェントや救護班によって保護された。

レネゲイドや組織について学んだ由季達。取り巻く環境の激変により、三姉妹は進路について悩む事となった。
そうして悩む三姉妹の元に猛と幸子が現れた。二人は"特務課"と呼ばれる課に属しており、UGNとの繋がりがある課であった。
両親は「UGNの進路を取った場合でも、警察との関わりが薄くなるわけではない」と三姉妹に説明した。

それから数日。由季はUGNエージェントとしての道に進む事に決めた。
暴走する超越者を律する為には力が必要であり、自身はその最低ラインをクリアしていると判断したのが決め手である。
両親も由季の考えには「警察とUGNでは組織こそ違えど、律する存在である事は同じ」と理解を示した。
なお咲良と秋葉は、両親の所属する"特務課"を目指す事にしている。由季程の戦闘能力は備えていないと考えた為である。

こうして由季は警察とは異なる道に進む事となったが、それでも家族の絆は変わらなかった。
それから一年後。持ち前の勤勉さと能力の高さを評価された由季は、武上支部への配属が決まった。

武上支部では、当時就任したばかりの伊比津支部長を補佐する役を担っていた。
支部長が普段の人格の場合は温厚な彼女に代わって実働部隊として、もう一つの人格の場合は彼女をセーブする役として動いた。

そうして実力を発揮していた由季であったが、由季の性格からか他のチルドレンから避けられてしまう事が多かった。
その為"他を寄せ付けない孤高のエリートエージェント"というイメージが由季に付いて回る事となる。
なお、実際に接したチルドレンやエージェントからの評判は上々。冷静だが根底には相手に向き合う気持ちがある為だ。

そんな中、同じく支部のエージェントである白樹健一とペアを組んで行動する事が多くなった。
健一は攻撃能力を持たない代わりにサポート能力に長けている。サポートの腕は確かだが、少々抜けている所もある。
真面目な性格で攻撃能力に優れた由季とは正反対だが、そのお陰か良い補完関係を築いていた。
共に行動し始めてから三年後。お互いを想い合っていた二人は、ついに結婚した。

結婚してから四年後。「インディゴ」と呼ばれるレネゲイドビーイングとの交戦があった。
その際に健一がインディゴに取り憑かれて暴走。由季はすぐさま対応ができず、その結果多量の被害者を出してしまう。
これ以上の被害を出さない為にも、由季は引き金を引いた。そうして健一は、由季の手によって命を落とした。
だがインディゴ本体の討伐には失敗した。残された由季は、自身の手が及ばなかった事を酷く悔やんだ。
元々の由季ならば問題なく対処できていたが、健一が関わっていた為に私情を優先してしまい、判断を誤ってしまった。

このような事を繰り返さないと誓った由季は、感情抑制及び身体能力強化の実験を受けた。
長期による薬物投与の実験だ。対敵した者を一撃で破壊できる力の入手の為、不要な感情の抑制の為にこの実験を志願した。
全ては来たる時の為。インディゴに確実な死を齎す為。可能な限りの手は尽くす。

そうして投与が終わった頃には、三種混血種(トライブリード)として目覚め、以前とは比べ物にならない力を手に入れた。
しかし感情抑制の影響で、戦闘時の由季の立ち回りが大幅に変わってしまった。
元々はジャームであっても屠る事を好まず、確保や凍結を主としていた由季。殺傷は本当に必要最低限であった。
だが現在では、極めて合理的にジャームの死を齎す存在に変貌している。必要であれば関わりのある相手ですら処理をする。
その結果、"他を寄せ付けない孤高のエリートエージェント"に名実共になってしまった。

禍々しい赤い靄を纏ったクロスボウ。装備者のレネゲイドを吸収する事で赤い靄が矢の形を成す。
レネゲイドを吸収する都合上装備者の負担は必要となるが、矢を番える必要がない為、予備動作なしでの射撃が可能。

放たれた赤い矢には追尾する特性がある。これを由季の優れた射撃技術と組み合わせる事により、高い命中率を誇っている。
また由季の侵蝕率が高まった場合は、相手の抱いている悪意や欲望に反応する特性が矢に付与される。

クロスボウでの相手の有効射程外からの攻撃を行う。相手に行動される前に致命傷を与えるべく様々な手法を取る。
行動を封じるべく相手の四肢を狙う事が多い。必要であれば心臓や正中線といった急所を狙う。

コードネーム

デュエルマスターズのカード「縫合秘伝マリススティッチ」

コンボ「祝ぎの小弓」

メイプルストーリーの職業カインが使用する武器「ブレスシューター」

コンボ「撃ち矢」

メイプルストーリーの職業カインが使用するスキル「ストライクアロー」

コンボ「爆ぜ矢」

メイプルストーリーの職業カインが使用するスキル「シャフトブレイク」

コンボ「鋭き聡眼」

メイプルストーリーの弓使い系統の職業が使用するスキル「シャープアイズ」

コンボ「降下煤塵」

メイプルストーリーの職業カインが使用するスキル「フォーリングダスト」

コンボ「卑討つ矢」

メイプルストーリーの職業カインが使用するスキル「スニーキースナイピング」

コンボ「裂く短刀」

メイプルストーリーの職業カインが使用するスキル「テアリングナイフ」

「で、テメェはどうなんだよ、黒羽ァ。何年かぶりの再開、オレ様は大事な彼の仇だってのに、随分と落ち着いててつまらねーじゃねーか」
「では、今ここで私が奇妙な行動でも取ればご満足ですか？」
「……感情抑制って奴か？つまんねぇなぁオイ！」
――"インディゴ"、かの者に死を齎す為に感情を抑制した由季。実験の結果が功を奏した瞬間であった。

「生きて罪を償うことが道理であれど、辛いのだ。恩を仇で返すのが宿命なら。周りに災いをもたらすのが罰ならば耐えられない」
「では一つ提案です。……"悪意への縫い矢"の名を持つ者として、貴女が我欲に飲まれそうな際の縫い矢に私がなる。もしも仮に貴女が再度過ちを繰り返した場合には、私が貴女を撃つ。これでどうでしょうか。勿論撃つ際も即断即決とは言いません」
"放到天"仙桃の懺悔に、一つの約束で返す由季。彼女の生を望むのは支部長だけではない。