名称:銀の書

種別:その他
購入/常備化:購入不可/不可

解説:所有者に全能の力を与えると云われている厚い革と銀の装丁の古びた書物。書き記した事柄を現実にするという絶大な力を持つが、記すためのペンは紛失しており使用することが出来なくなっている。

所持者に強い全能感を与え、その欲望、特に知的好奇心、探求心を際限無く増幅させる。

現在使用不可、所持者不明

「悪いのはあいつ。お姉ちゃんは悪くないもん」
DATA
性別：女性　年齢：16
ブリード：クロスブリード
シンドローム：サラマンダー/モルフェウス
ワークス/カバー：優等性(高等部)/優等生(高等部)
　琴葉と共に学園へ編入した少女。今年に入って高等部に進級し、姉と同じ寮に入って生活している。過去の事件に巻き込まれ、体内のレネゲイドウィルスが非常に不安定になっている。その為、普段から抗レネゲイド薬を服用している。後遺症で黒かった髪は光を弾く銀髪になっている。
　父に対して並々ならぬ恨みを抱いており、今も憎悪の炎を燃やし続けている。姉のことは本当に大好きであり、よく一緒にいる。

「あぁ、もう用はないよ。お疲れ様」
DATA
性別：男性　年齢：48
ブリード：不明
シンドローム：不明
ワークス/カバー：研究者/研究者
　琴葉と優璃の父。レネゲイドに関する研究を行っている。
　しかしある日を境に人が変わったようにとある研究を始め、妻と娘たちを実験の被験者にした。現在は当の本人は行方不明である。

彼女に会いに行きたければ、高等部校舎群の中にある図書館か、市街区の路地裏にある小さなカフェを訪ねてみると良いだろう。どうあれ、本を静かに読める場所であるならば、彼女はそこに落ち着いていることが多い。
とはいえ、誰かが個人的に彼女のことを尋ねる機会はほぼ無い。彼女が特定の誰かと一緒にいることは非常に稀であり、友達と呼べる存在はいないのではないかと思われる。
それでも、最近は一年生の少女が彼女に積極的に話しかけに行っている場面は散見されているようだ。

その姉妹は常に対照的であった。
社交的で優秀な妹と、閉塞的で平凡な姉。姉の勝る点など、その身の丈程度しかない。
にも拘わらず、姉妹の仲はとても良かった。姉は妹を誇りに思っており、妹もまた、そんな姉の誇りである己に自信を持っていた。
「優璃はなんでもできてすごいね」
かつて、姉は妹にそう言った。そこに他意はなく、純粋に妹を称賛する言葉であった。
「当たり前だよ、私はお姉ちゃんの妹だもん！」
だから彼女もそう返す。彼女たちの絆は切れることなく、今も尚続いている。

彼女の父である水無月宗吾は、レネゲイドに関する研究を行っていた。未知なる力、未だ解明しえない可能性を持つレネゲイドを研究することは、彼の興味を強くかき立てたのである。
そんな彼にも、家庭があった。愛する妻と、彼女との間に授かった二人の娘。彼は研究を行う傍ら、家族との時間も大切にする良き父であったのだ。
故に、そんな彼からの研究協力に対し、琴葉が頷くのは無理からぬことであった。
この世のありとあらゆる苦痛をその身に詰め込まれ、彼女の精神は容易く焼き切れた。そんな彼女に対し、男は使い終わった紙皿を放置するかのように捨て置いた。予想を超える結果を齎さなかった素材に対し、彼は興味を失ったのである。その瞳は、いつも優秀な結果を残してきた妹と、彼が愛した妻に向けられていた。
ーーだから、彼女が既にそこにいないことなど、彼にとってはどうでもいいことだったのである。

　彼女のオーヴァードとしての力は、銀の雫によって活性化したレネゲイドウィルスによってもたらされている。故に、彼女の能力は半ば無理矢理に引き出されたモノであり、本来的には彼女はオーヴァードとして覚醒する程の器ではなかった。
　斥力を操り、時間にまで干渉する力――“バロール”に区分されるその力は、彼女が力を求めた形である。それは、当たり前だった幸せな日々への回帰を願う力。誰にも傷ついて欲しくないという想いから具現した。
　だが、その力が父によって植え付けられたものに由来していることを、彼女も認識している。故に、その力を使うこと自体を、彼女は忌避してきた。
　しかり、大切な人を守る為、救う為であれば、彼女は迷いなく力を使うだろう。その代償が如何なるモノになるとしても、今の彼女は全てを背負う覚悟を得たのだから。

“学園”高等部２年の、水無月　琴葉、です……あの、もう行ってもいいでしょうか……？

これでも、身体を動かす機会は多いんです。蔵書の整理とか、返却された本の戻しとかで……でも、苦手なことには変わりありませんけれど……あはは……

逃げたい時には、逃げてもいいと思います……ただ、逃げた先に何があるかを、全て想像してからでないと、後悔しますけれど……

…………ぁ、ごめんなさい……本を読むのに集中してました……

雨は好きです……雨音に耳を傾けながら読書をすると、すごく気持ちが落ち着くんです……

ひぇっ…！　こ、こういう日は……屋内に籠っているのが一番です……

雲の無い青空は苦手です……空の蒼に、吸い込まれてしまいそうで……伝わりますか……？

ふぁ……昨日は夜遅くまで本を読んでいたので……すみません……

お昼ご飯は、いつも優璃がお弁当を作ってくれるんです……栄養もちゃんと考えられていて、何より美味しんですよ。お母さんの味に、とてもよく似ています……

いい夜、ですね……暗いのは苦手ですが、夜自体は、嫌いじゃないです。

ぁ……おやすみなさい……私は、まだ読みたい本がありますので……

どうしてあの時、あの場所から逃げてしまったのか、自分でも分からないんです……気付いたら知らない場所にいて……私が逃げさえしなければ、お母さんも優璃も……あんなことにならなかったのに……

自分でも制御が難しくて……無意識の内に使っていることがあるみたいなんです……それが、怖くて……

路地裏の小さなカフェとか……大学部校舎群の方とか……農場の方なんかも、静かで落ち着きますよ……ぁ、でもあんまり言い触らさないでくださいね……

レネゲイドの研究に興味があるんです。将来は大学まで進んで、いずれレネゲイドに関する研究をしてみたいです……優璃を元に戻す方法が、あるかもしれませんから……

掛け替えのない、大切な妹です。今まで、私が不甲斐ないばかりに、大変な想いをさせてしまいました……これからは、お姉ちゃんが、頑張ります。

恨んでいないか、と聞かれたら、違うとは言い切れません……けれど、どうしても憎み切れません……だって、どんなに変わってしまっても、お父さんはお父さんですから……

今まで抱いていた、お父さんに対する複雑な感情が、今ではすっかり凪いでいます。どうしてあれだけ悩んでいたのか、不思議と思い出せなくて――それが良い事なのか、悪い事なのかも、うまく言えません。一つ分かるのは、あの時銀の書の力を使った瞬間、ふっと胸の痞えが取れたことだけです。

私たちの恩人です……あの人がいなければ、私たちはここにいませんでしたから……聞いたんですけれど、その……すごく偉い人だって……ほ、ほんとに私なんかと電話してもいいんですか……？

私なんかとは、住む世界が違う人です……優璃の友達なので、私にも声をかけてくれるみたいですが……愛とか恋とか、たまに意味の分からないことを言ってくるので、その……困ります……

あの人からは、何度も勇気を貰えました……優璃を助ける時にも手を貸してくれて、すごく、感謝しています。ただ……私はあの人の大切な人を奪ってしまったのも事実です……その責任も、ちゃんと取るつもりです……

最初は、私と同じような空気の人だなって思いました……けど、まさかＳＳランクだなんて……凄すぎて、逆に現実味がないです。でも、あのエフェクトの規模を見たら、少しは納得できるかもしれません……扱いきれなくて、自分ごと爆発している気がしますけれど……

凄く独特な空気を持ってる人です……天然、というんでしょうか……とにかく、良い人なのは間違いないです。

天使さん、です……あ、これは他の人も言っているので、つい……裏表のない、素直な子だと思います……でも、時々変な気配がすると言いますか……

私のこと、ですか……？　ぇと……話せることなんて、あんまり無いと思いますけれど……うぅ、こんな私に時間を使わせてしまってごめんなさい……

私の周りで起きる様々なことは、その殆どが、私の所為なんです……だから、巻き込んでしまって、ごめんなさい……

けど、もう迷いはありません……全てが私の所為なんですから、全ての責任は、私が取ります。……もちろん、取れる範囲で、ですけれど……

読書が好きです……文字を読んでいる間は、なんだか安心するんです……もしかしたら、それも一つの逃避なのかも、しれませんが……

無意識の内にエフェクトを使ってるみたいで……やめた方がいいってわかってるんですが……本を読む時に、気付いたら集中してしまって……

市街区にあるカフェのコーヒーが好きで……よく飲みに行くんです。一緒に出てくるホットケーキも、甘くてお勧め、ですよ……

食べ物ではないんですが……薬が苦手です。どうしても、昔のことを思い出してしまうので……

わ、私なんかがこんな物を貰ってしまって……ぃ、いいんでしょうか……？

ぁ、ありがとう、ございます……何も返せる物がないです、けれど……

……ぇと、ぁの……ぁりがとう、ございます……