「あんの性悪嫌味陰険メガネぇ……！！」

ぶっちゃけ荷が重すぎて吐きそうになっている。ライカ自身はどちらかと言えば"特権階級"側の人間であるし、自分の一族の大半は本部所属のエージェント、アクシズの側近となっている人間もいるほどだ。

だからって急にアクシズになってほしいって言われて「はい！」と言えるほどの度胸は流石に無かった。

でもなっちゃった。なまじ、アクシズに押し上げるほどの功績を作ってしまったがために、意外とスムーズにいってしまった。

左遷のせいで縁が深いアッシュとは同僚みたいになるし、「いつかガツンと言ってやるわ！」と言っていた評議員らとは距離がすごい近くなるわで、胃痛がとんでもないことになっている。




……自分のような不良エージェントに、何の迷いもなくこの役目を任せようとした評議員らの期待に背くことができず、可能な限りの準備だけは整えてきた。

エージェント時代のトレーニングをこなし、装備を一新し、実家とテレーズ評議員の力を借りて遺産の力を手に入れた。

吐きそうなぐらいの責任以外は、どうせいつもと変わらないのだ。なるように足掻いて、死んだらそれまで。

と、思っているが心労がとんでもないので、慣れ親しんだ支部員たちにはすべての事情を打ち明けて、この任務に関わり続けることに対する危険性を散々に説いた後で、いっしょにいてほしいと泣きながら土下座した。

そんな惨めな姿を見ても残ってくれた支部員に全幅の信頼を置いているぞ！