父親（非オーヴァードだが存在を知っている）と兄（非オーヴァード）の3人家族。母親は幼いころに死別した。病死だと聞かされている。
母親がいないことがほぼ当たり前となっていたため、特に何かを感じたことはない。そのぶん、父や兄が大事にしてくれるので嬉しいくらいだし、母がいないことを揶揄おうものなら兄が飛んできて守ってくれた。
父も仕事が忙しい傍ら、少しでも家族の時間を取ろうとしてくれている。そのため、自他共に認めるファザコンブラコンに育ってしまった。
子供のころから兄にくっついて遊びにでかけていたため、趣味がどこか男っぽい部分がある。特にサバゲーが大好きで、兄と一緒によくホビーショップへ行っている。
「せめて見た目は可愛く女の子らしくしてくれ」と泣きつかれ、メイクやファッションにも全力を注ぐようになった。

元々、父親や兄の影響でモデルガンや模造刀等を集める趣味があったが、オーヴァードに覚醒してから殺傷能力のある武器を収集するようになった。
銃火器弄りは好きだったが、ノイマンのシンドロームが重なったことで、より複雑なカスタマイズ等も行うようになっている。
任務に赴くときは、コレクションから数点を選んで持っていって使用している。
そのことから、いつの間にか武器商人を指す「死の商人」から更に畏怖を込めて「死神すら欲する武器の商人」と呼ばれるようになっていった。
もちろん、大事なコレクションなので、「商人」と呼ばれながらも手放す気はさらさらない

発端はなんてことはない、ただの通り魔事件に巻き込まれたこと。
友人と遊びに行っていた時に、「誰でもよかった」というありきたりな動機でナイフを振り回していた男に刺された。
不意を突かれたため、避けることはできず致命傷を受ける。
当たり前の話だが、「なぜ自分がこんな目に」と思わずにいられなかった。しかし、ほんの一瞬、男が振るった刃の煌めきに見惚れた自分がいたのも事実。
今まで遊びで手にしていた玩具ではなく、本物の命を奪う「武器」という煌めきに、一瞬のうちに魅了された。
遠のく意識の中で、いつまでもあの煌めきが忘れられなかった。

確実に自分は死んだと思ったのに、目が覚めた時にいたのは、天国でも地獄でもなくUGNが有する病院だった。