「……はい、私は楓さんの友人でしたが。あなたは？……そうでしたか。彼女は文武両道で、誰にでも優しく明るい人でした。定期試験でも学年で五本の指に入る常連でしたし、私もよく勉強を教わっていました。スポーツも得意で、バスケットボールなんかでは助っ人として呼ばれていることも多かったですね。思い出せば思い出すほど、“完璧”という言葉が似合う方でした。……ああ、あと。彼女は幼い頃からアイドルを夢見ていたらしいですよ。ふふっ、そういった可愛らしい一面も持っていて、魅力的な人ですよね」

「ん、楓？あー、そんな子もいたね。うちも仲良かったから話はできると思うよー？あの子、容姿端麗で勉強もできるからお堅く見られがちなんだけど、意外とノリいいし遊びもあるから学校の中で楓を嫌ってる人はいなかったんじゃない？……そういや、楓が唯一無二の大親友って呼んでた子がいたなー。その子は楓と対照的に物静かで、人付き合いはあんまよくなかったかな。でも毎日一緒だったし、二人とも幸せそうだったよ～……楓が、いなくなるまでは」

「えっと、楓さんですか……か、彼女は……そうですね。たしか三年生の頃、他の中学へと転校されましたね。わたしもおすすめの本を何冊か教えてもらったり、感想を言い合ったりしていたので……すごく残念でした。……あの、もういいですか。……はぁ、その。これは内緒なんですけど。当時、生徒たちの間で噂になっていた話なんですが、楓さんは転校……したのではなく、自殺した、らしいんですよ」

「■■■、さん？うーん……ごめんなさい。さっぱりわかんないです。……あ！も、もしかして私が知らないだけで先輩アイドルの人だったり！？だとしたら、とんだ失礼を……！」