容姿・経歴・その他メモ

「初めまして！　灰谷灯緑と申します。お会いできてうれしいです！」

大学の剣道サークルにて主将を務めている少女。品行方正、文武両道、大和撫子を絵に描いたような好人物であり、最近はテレビや各種メディアにも多く出演して芸能人のような扱いを受けている。
しかしてその正体はFHセル神罰(ネメシス)に所属するFHチルドレンであり、近年マスターブレイドの称号を手に入れた危険人物。
風祭流という剣術を継承して来た家系に生まれたが、その才は自分より後に生まれた妹に劣っていた。流派を継ぐプレッシャーと、周囲の注目を一身に受ける妹への嫉妬で狂いかけていたその時、FHとUGNの間に勃発した遭遇戦に巻き込まれる。最初は家族を助けようとしていた彼女だったが、遠くに見つけた"緑色の灯"を追いかけて、妹の目前で踵を返してその場を後にした。
その後、FH関係者である"眼科医"T・J・エクルバーグ博士の眼に留まって保護され、彼の知り合いであった宮武蔵之介の下で育てられた。新たな名を得た彼女の目的は、剣の道で大成してかつて自分が受ける筈であった歓声と注目を手にする事である。例えその剣がまやかしのものであったとしても。

「……なんだ、ひょっとして"ご同業"の方なんですか？」


「戦いの場にあっても、平常心と礼節を忘れてはいけませんよ」

その由来のためか、刀剣での戦闘にこだわる。オーヴァードに覚醒した後も身体を動かす能力には相変わらず恵まれなかったが、それを武道家としての観察眼と、領域と薬品を操るレネゲイドの力で補って戦闘を行う。一方で味方の支援や回復など、武闘派な称号とはあまり似つかわしくない能力を持ち、寧ろそちらの方を得意としているようでもある。
一応戦闘行為が不可能ではない程度の戦力はあるものの、先代のマスターブレイドを打ち倒す事が出来るほどのものかと問われれば疑問符が付き、FH内部の（特に戦闘狂や実力主義者と呼ばれる類の）人間には、その決闘にどれだけの仕込みがあったのかと想像し、実力に不相応な成り上がり者"トリマルキオ"と貶す者も少なくはない。それでも彼女が今の地位に着けているのは、自由主義的なFHには希少な対外パフォーマンスや情報操作を担うことのできる人材であるという理由もあるのかもしれない。また、エクルバーグ博士を始め一部の人間は彼女に見える緑色の灯に関心を持っているようだ。

「緑色の妖精が見えるでしょう？　どうか安らかに眠れますように」


「私の顔を……顔をそんな風に見ないで」

血縁と呼べる人間はあらかたいなくなってしまった彼女は、襲撃のせいで醜く変わってしまった顔にエフェクトで化粧を施して今日もスポットライトの中心に立つ。最も恨むべき妹の生死だけは確認されていないが、まさか生きていてUGNあたりに保護されたりしているようなことはあるまい。
謎めいた緑色の灯に導かれて以来、彼女の人生は狂騒の中にある。永遠にも思える眩しき栄光。それが終わってしまう日など想像すらしていないのだろう。或いは、知っているのかもしれない。終わりを予感してしまうことそれ自体が、彼女の人生の虚飾を明かし、終わらぬ高騰に終止符を打ってしまうものであると。

「私があの日見た緑色の灯は……私の進む前を年々先へ先へと後退してゆく狂騒的な未来、明日はもっと、もっと遠くまで手を伸ばして、いつの日にか必ず……」



モチーフ：F・スコット・フィッツジェラルド作品（グレート・ギャツビー/美しく呪われし者）/アブサン/狂騒の20年代

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