ごく一般的な家庭に生まれた。三人姉妹の長女。
アルビノであることから生活の大半を室内で過ごさざるを得なかった。
「普通」とは違うことから幼心ながら疎外感を感じていた。

16歳の頃にレネゲイド事件に巻き込まれて覚醒した。
事件の収拾にやってきたＵＧＮに保護されて以降、朔もＵＧＮに所属している。
レネゲイドによる肉体強化で紫外線への耐性を獲得し、エンジェルハィロゥシンドロームの能力で低かった視力は底上げされた。
皮肉なことに、オーヴァードに覚醒したことによって朔が求めていた「普通」の生活が手に入った。

ＵＧＮエージェントとして活動を続けて4年、20歳になった頃に新しく設立されたチルドレン教育施設の教官を頼まれた。
子供の相手など初めてで戸惑っていたが、次第に子供たちとも心を通わせ、信頼関係を築くようになった。
しかし、戦うための方法を子供たちの教えるというのは、それが生き抜くためだとしてもあまり気の進むことではなかった。
願わくば、教え子たちには普通の幸せを享受して欲しい。いつしかそう想うようになった。

一年半前、朔が教官を務めていた施設がＦＨの襲撃に遭った。
実戦など経験したことのない子供たちは鏖殺され、才能のある子は攫われた。
朔は教え子たちを守るために応戦したが、3年間前線を離れていたブランクからか太刀打ちできなかった。

この襲撃事件の後、朔は前線に復帰する。
攫われた子供たちを取り戻すため。
そして、ＦＨの手によって理不尽に奪われてしまう命を少しでも救うために。