研究所で生まれ研究所で暮らし、『賢者の石』の実験体として非人道的な扱いを受けて来た複製体。

『S-09』という識別コードのみを与えられ、完成形であるアリアの存在により失敗作の烙印を押された彼女は、同じ複製体の仲間と励まし合いながら、絶望的な環境の中で時には骸と化していく仲間の遺品や食料を漁り、時にはその肉すらも喰らって生き永らえてきた。

死にたくない。ただ死にたくない。
そうして耐え忍ぶ中で2か月前、ようやく転機が訪れる。それは研究所の主、フーガから与えられた『アリアを捕縛し、研究所に連れ戻す』という任務。
この任務を完遂してみせれば、自分はようやく束縛から解放され自由を得ることが出来る。

自分が壊れる前に、物としてではなく人として生きる為に。『縞狼 彩貴』というオリジナルと同一の名前を授かり、丹茅市内に住む高校生という偽りの肩書を用い。彼女は街に潜入するエージェントとなった。

クールで無表情、淡々とした話し方が特徴的な少女。
生い立ち故に学力はほとんど養われておらず、冷静に見えるその振る舞いとは裏腹に学校の成績は壊滅的。
とはいえ頭の良さ自体はそれなりな方で、状況判断や論理思考の能力は優秀な部類。

現実主義的な考え方の持ち主であり、自身に利のある事のためならば冷徹な態度を取ることもあるが、それも極端なものではなく感情的に動くこともままある。

自身の生存欲求とアイデンティティーの確立に強い執着があり、それが彼女の任務遂行における原動力となっている。
しかし任務の中でアリア達と関わるうち、任務の達成による自身の生存欲求、そして友達と呼べる人々との関わりの中で生まれるアイデンティティーの確立、二つが相反する形になり任務の遂行を躊躇っていたようだ。