容姿・経歴・その他メモ

クロドヴァ南部の小さな村、通称リエラの村。
リエラ鉱山に近くかつてはダキウム鉱石採掘でにぎわっていたが、リエラハザード後はほぼスラムと化した見放された地。
その村で少年は似たような境遇の子供たちと共に親の顔も知らずに育った。
恐喝、放火、強盗、殺人。生きるためなら何でもした。大人相手でもお構いなしで、仲間は同じ境遇の子供だけ。

生活はいつも苦しくて、けれどそんなクロドヴァ南部で潤沢な物資を持つ存在がいた。軍隊である。
金も、食事も、きれいな水だって持っている。当然見つかればただでは済まない。けれど、ひもじさをかみ殺す仲間の姿を見て無謀な挑戦に走るものは少なくなかった。
少年もその一人。

そして当然のように捕らえられ、オーヴァードであることが発覚。その他大勢とともに実験動物にされ……幸運にも生き残った。
いつ覚醒していたのかも知らない。そもそも覚醒という概念さえ理解していない。気付いた時にはオーヴァードで、たまたま実験に適合しただけ。
そんなありふれた経緯をたどり、ノインテーターの｜超人兵士《飼いイヌ》となった。
そこから先は簡単だ。敵を殺せば飯が食える。逃げ出せば背中を撃たれる。あまりにも分かりやすい条件に少年は適応した……というよりは、何も変わらなかったというべきか。奪わなければ飢えて死ぬ。少し積極的に奪うようになっただけだ。

生きるために殺し、食うために奪う戦いに身を浸して数年。ある戦場で少年は捨て駒にされた。そうと気付いた時にはすでに遅く、撤退しようにも機銃掃射の真っただ中。ノインテーターに義理立てする理由もなく、投降してデザートミラージュの捕虜となる。
場所が変わろうと少年兵のやることは変わらない。ただ戦って殺して奪うだけ。けれど、デザートミラージュで少年は飼い犬ではなく一人の人間として扱われた。元ノインテーターの立場は決して安全なものではなかったし、偏見の目も少なくなかったが、不必要な差別はなかった。
援護の仕方を叩き込まれた。身を挺してかばわれた。読み書きを教えられた。少ない食料を分け合った。ともに肩を並べて戦うこと、自己と他者の命の意味を少しずつ理解して、イヌはヒトになっていった。

そして……故郷の仲間たちのことを思い出した。
頼れるものもなく、奪う他に生き方を知らない子供たち。そんな存在がクロドヴァには無数にいる。
この戦いが続く限り南北の格差は埋まらず、死にゆく人々もまたなくならない。

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