世界中に特殊なコネクションを持つスペイン系マフィア・ロザムンド家の一人息子。
「薔薇釵 茨乃」は日本国籍名であり、本名は「シルベストレ・ノア・ロザムンド」。
父が日本とスペインのダブルで、母親が日本人のため、本人はクオーター。

父親がUGN本部に帰属する特別支部「特殊情報統制支部」の支部長。
特殊情報統制支部はかつて日本支部で起きたUGNクーデター (上級 p.76)の反省とUGN本部の圧力によって日本に設けられた特別支部であり、主にUGN内の不穏分子の調査と排除を行う、情報統制とは名ばかりの暗殺部隊であった。
当時は本名のシルベストレ・ノア・ロザムンドの名で父の支部に所属し、敵味方から恐れられる拷問のスペシャリストとして名を馳せた。

当時の誰もが理解し得ない、また本人も自覚のないことだったが、シルベストレは快楽殺人者でもあった。
三年前、情報調査の任務を受け、FHからのスパイと目された日本支部のエージェント『槐 三舟(えんじゅ みふね)』と接触する。
半年もの間、恋人として三舟の傍に留まり、表面上の愛を育みながら情報を調査し続け、FHのスパイである証拠を掴んでついに『粛清』に至る。
だが、三舟は今までの捜査対象と異なり、死の間際にシルベストレという男を肯定し、この殺害を「他人を愛する行為」と理解した。この恋人は短い付き合いながらも、誰よりも本質を見抜いていた。
シルベストレは、その瞬間、この男に本気の恋愛感情を抱いてしまった。

真実の愛を知ってしまったが、運命の男はもはや亡き者であり、二度は殺せない。
その事実に対面したシルベストレは「殺人純潔」を全て亡き恋人・槐 三舟に捧げるため、不殺の誓いを立てる。
そして、中枢評議会のテレーズ・ブルムとUGN日本支部の霧谷雄吾に接触し、「特殊情報統制支部」からN市支部の支部長への転属となった。

人当たりがよく、誰に対しても丁寧な物腰を崩さない。滅多な事……どころか、一切他人に怒ることがない。
一見すると柔和で心優しい人物だが、それ故に底知れなさから敬遠されることも多く、よくレネゲイドビーイングに間違えられる。
本人としては悪意があるわけではなく、幼少期から共感能力が低く内向的な性格であったこと、そしてノイマンシンドロームに覚醒してからは独特の思考回路を持つようになったことで、他人の感情を「ゆらぎのあるデータ」としてしか捉えられなくなったことが原因。

処刑人として過ごした経歴、特異な精神性を鑑みたUGN本部（あるいは父親と、父が仕える中枢評議会議員）から第一級危険人物に指定されていることも、一連の事情を知るローザ・バスカヴィルから懐疑の念を持たれていることも理解してなお、現在の状況を楽しんでいる様子すら見受けられる。
屈曲した精神性は人間のものというよりは植物のそれに近く、本人もそれは自覚してるため、支部長として支部員に接するときは本人なりに気を遣っている。

植物性の体細胞を持つ髪を自在に拡張・育成することができ、その毛の一本一本を一定の範囲内(半径20m以内)で自由に操作することができる。毛髪の一本一本が植物の性質を持ち、光合成で栄養補給ができるほか、毒性や寄生種子といった性質に変化させることも可能。
また、接触した相手の細胞を髪のレネゲイドと順応させて自身の体細胞へ一体化、つまり「捕食」することもできる。ただし、その技は本人の中で生殖行為と同等の意味合いを持つらしく、槐 三舟の暗殺を終えてからは一切使用していない。
トライブリードの中でもかなり特殊な能力の覚醒であると判断されている。というのも、植物性の細胞であることはエグザイルシンドロームの範疇外にあり、領域の操作能力に関するものがない（一説によると髪そのものが因子である、または因子の強い現れであるとされている）ことはオルクスシンドロームの範疇外であること。また、殺戮衝動と分類されているが本人へのカウンセリングの結果を鑑みるに吸血衝動に近いものではないのかと推論されている。
そのことに関しては「接ぎ木をすれば植物の性質は変化する」と本人は語っている。
ウロボロスシンドロームの存在が露見した際には捕食性質も相まって検査の対象となったが、ウロボロスシンドロームの検出は認められなかった。

ちなみに、自身の体組織を自由意思で変形させることは可能で、現在の顔や髪色、身体に関しても生来の形状ではない。
現在の身体は三年前のものから一切変化させていない。男性器、女性器共についているが、本人曰く「三舟の好みに合わせた」とのこと。

日本支部のエージェントとして活動していた男、槐 三舟は死してなお謎の多い存在であり、彼が裏切り者だったという証拠は茨乃しか把握していない。
彼のシンドロームはノイマン／ソラリスで、人柄に関しては優秀で、性格もごく一般的。社交性が高く、エージェントとしての信頼も厚い。各地の支部との連携に関しても優秀だった。
しかし、彼は殺戮衝動を抱えており、ジャームではないものの衝動を発散するため度々UGNエージェントを襲撃していた疑いがある。行方不明者は今もなお不明のまま、殺しの証拠も残さない鮮やかな手腕は、無実でなければ彼が手練れの殺人者であることを示唆している。

▽ロイス
①D:破壊者
②槐 三舟 [RE]　○P:純愛 / N:悲哀
③テレーズ・ブルム [PU]　○P:信頼 / N:劣等感
✓グレイファントム　○P:有為 / N:脅威
⑤英 嵓夫　○P:有為 / N:隔意
⑥[S]子供たち　○P:慈愛 / N:無関心
✓FH　P:有為 / ○N:無粋

▽ロイス
①D:破壊者
×槐 三舟 [RE]　○P:純愛 / N:悲哀
③テレーズ・ブルム [PU]　○P:信頼 / N:劣等感
×キングダム・カム　P:好奇心 / ○N:侮蔑
⑤英 嵓夫　○P:有為 / N:隔意
⑥白晶 エリナ[S]　○P:慈愛 / N:無関心
⑦八重樫 若菜　○P:好奇心 / N:無関心

槐三舟：過去の任務の標的であり、粛清したFHエージェント。死の間際に交わした目線、吐息、言葉の全てが己の人生を変える恋を与えてくれた。

▽ロイス
①D:破壊者
②白晶 エリナ[WH]　○P:慈愛 / N:無関心
×テレーズ・ブルム [PU]　○P:信頼 / N:劣等感
×佐和山 光彦　P:好奇心 / ○N:不快感
⑤英 嵓夫　○P:信頼 / N:不快感
⑥愛しい子供たち　○P:慈愛 / N:劣等感
⑦彼が求めた"日常" [S]　○P:慈愛 / N:不安

テレーズ・ブルム：父親のコネクションで繋がりのあった中枢評議会の一員。現在の立場は彼女との信頼関係で成り立っている。