容姿・経歴・その他メモ

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わりーと最近、寂びれた漁港近くの集落におじいさんとおばあさんとたゑ子ちゃんが住んでいました。
たゑ子ちゃんのおうちは貧しく、いつも食べるものに困っていました。
おじいさんとおばあさんは山で山菜取りを、たゑ子ちゃんは海で魚釣りをすることで、なんとか食いつなぐことができていました。

そんなある日、たゑ子ちゃんは台所で綺麗な小箱を見つけました。
小箱には「絶対に開けてはならない」と書かれた張り紙がしてありました。
おなかをすかせたたゑ子ちゃんは、きっとこの中には何かおいしいものが入っているにちがいないと思い、張り紙の内容を守らずに小箱を開けてしまいました。
すると箱の中からもくもくと白い煙が立ち上り、たゑ子ちゃんは力に目覚めました。

気を強くしたたゑ子ちゃんは浜辺に出かけました。
浜辺では一匹の亀が地元の子供たちにいじめられていました。
気の強くなったたゑ子ちゃんは力を行使し、地元の子供たちを懲らしめました。
亀は助かりました。
しかし、恩返しの類は特に何もありませんでした。

おうちに帰ったたゑ子ちゃんはおじいさんとおばあさんに問い詰められました。
おじいさんとおばあさんは台所の小箱が開けられていることに気が付いてしまったのです。
おじいさんは言いました。
「これはUGNに来てもらうしかないな」
おばあさんは言いました。
「桐谷さんに電話しましょう」
力に目覚めたたゑ子ちゃんは正義のために戦わなくてはなりません。
たゑ子ちゃんは故郷の漁港を後にし、UGNチルドレンとして生きていくことになりました。

それから幾星霜、たゑ子ちゃんはUGNチルドレンとして戦いに身を投じ、やがて大人になりました。
たゑ子さんは様々な武器を試しました。しかし、自分にぴったりの武器を見つけることはできませんでした。

ある日、束の間の休日をもらったたゑ子さんは久しぶりに釣りに出かけました。
たゑ子さんはたくさんの魚を釣り上げました。
その日で一番大きな魚を釣り上げたとき、たゑ子さんは気が付きました。
たゑ子さんが子供のころから使っていて、もっとも使い慣れていた道具は釣り竿だったのです。
さっそくたゑ子さんはUGNの科学技術部門に新しい武器の開発をお願いしに行きました。
馬鹿な頼みはやめてくれと一蹴されました。

それから数日後、科学技術部門に新たに配属された新人エージェントの亀田英我という男からたゑ子さんのもとにEメールが届きました。
そのEメールにはこう書かれていました。
「釣り竿型の武器の開発は今後のUGNの技術発展に大きな意味を持つものになると思います。ぜひ協力させてください」
たゑ子さんは大喜びで亀田さんに会いに行きました。

亀田さんはたゑ子さんの好みの顔でした。
亀田さんはたゑ子さんにデータ収集のための釣りに行くことを提案しました。
たゑ子さんは内心うきうきでした。実質釣りデートのようなものだったからです。
時間を見つけては二人で釣りに出かける日々がはじまりました。
時には任務を別の人に任せてでも釣りに行くことさえありました。
UGN内で実力が認められ一目置かれていたたゑ子さんにはそんなことも許されました。

やがて長い月日を経て、ついにたゑ子さん専用の釣り竿型武器が完成しました。

釣り竿型武器、対オーヴァード決戦釣具正規実用型2号「蠍針」──
その威力が試される最初の任務で、悲しいことが起きました。
この任務の中で亀田さんが死んでしまったのです。

亀田さんは死の間際にたゑ子さんに言いました。
「俺は……実はノイマンとキュマイラのクロスブリードなんだ……キュマイラの方は言ってなかったけどな……」
「たゑ子……お前が子供のころに助けた亀……あれは本当は俺だったんだ……」
「UGNで再会してから……俺はたゑ子のことをずっと見てきた……」
「へへ……恩返し……できたかな……たゑ子にぴったりの武器まで作れて幸せだったよ……」

たゑ子さんは大泣きしました。
たゑ子さんの夢は亀田さんとずっと一緒にいることだったのです。
亀田さんのやってきたことはたゑ子さんにとって、恩返しにはとても足りませんでした。

たゑ子さんは亀田さんと、ただいつまでも一緒に居たかっただけなのです。

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