お菓子は幼い頃から好きだった。特にお父様の焼いたビスケットは今でも私の中で一番美味しいものだったと断言できる。
お母様と一緒にコーヒーや紅茶を淹れて三人でお菓子を食べることは何よりも幸せな時間だった。

もう、二度とその時間を過ごすこともお父様のビスケットを味わうこともできないけども。

あんなものがこの世に存在しなければこんな思いをすることはなかったのに。

最初は小学生の時、配られたクッキーを口にした時のこと、食中毒に当たり一週間以上も死ぬ思いをしながら入院することになった。あの日以降クッキーと名の付いたモノを口にしたことはない。
中学生の時にはバレンタインデーに初恋の人に手作りのチョコレートビスケットを渡すつもりでいたらその人が他の女子から嬉しそうにチョコクッキーを受け取っている所を見てしまった。あの日は泣きながら作ったビスケットを口にした。

そしてあの日。帰り道に家の近くが騒がしいと見に行ったら燃え広がる自分の家。放心状態の私に追い打つように告げられる言葉。「久利子さん！！ご両親がまだあの中に…！！」
居ても立っても居られず駆け寄ろうとしたその時大きな音を立てて家は崩れ落ちた、お父様とお母様を残したまま。そのまま私は気を失った。

病室で目を覚ました私は両親が亡くなったこと、火災の原因が隣家のクッキー作りだと知らされた。
クッキー。まただ。こんな人を不幸にするものが存在するなんて間違っている！！
クッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキークッキーィィィィィィイイイイイイイイイイイイイ！！！！！！！！
煮えくり返るような怒りが頂点に達した時、異様なことが起き始める。
病室の中のものがどんどんビスケットに変化し始めたのだ。

その時私は直感的に理解した。この力でこの世からクッキーという概念を焼き尽くし、素敵なビスケットに満ちた世界を創るのだと。

湊戸市内に大量発生したリヴァイアサンクッキーマンを怒りに任せながら破壊していたが途中で対クッキー種に目覚めた田村章源、日本支部から増援できた竜胆滝、リヴァイアサンクッキーマンと化した青山透香と合流、協力して事件の解決に動くことになった。リヴァイアサンクッキーを製造していたFHセル「フォレストエターナル」に突入しそこにいたディアボロスクッキーマン春日恭二を粉砕、臨界に近いビッグリヴァイアサンクッキーマンに立ち向かった。
雪吊心愛の真意を知り、感謝の意を示すも彼女の行動は間違いだと断じ彼女を打ち破り、炉心に特攻する青山透香（リヴァイアサンクッキーマン）を見送った。
事件収束後、UGN支部長を辞職。何人かのオーヴァードの店員やアルバイト達と共にビスケット職人として1から歩もうと考えている。
また新作ビスケット「シュガーナイトビスケット」を考案し新メニューとして売り出している。