父親は物心ついたころからおらず、母と祖母に育てられた。片親であったが母はそれなりの職に就いており、経済的に困窮することなく不自由のない生活を送る。
別れた夫や世間を見返したいという母の思いの表れか、厳しくまた過干渉気味な環境で育てられたいわゆるトロフィーチャイルド（親が自慢話をするために使う、出来の良い子ども）である。
ただその歪みについて母はもちろん倖子自身も気が付いておらず、自分は愛情を持って大切に育てられた無二の存在であると信じている。自覚はないにせよ、そういった環境で幼少期をすごしたためか自己愛が強く誰かにとっての「特別な存在」である自分しか受け入れられない。

母の教育もあり学生時代は勉強スポーツともによくでき、美術の面での才能もあり写真や絵画コンクールの入賞常連でまさに神童のような扱いであった。しかし有名大学への進学を希望する母を説得し進んだ美術大学で転機が訪れる。類まれな才能と技術をもつ選ばれし人々のみが集う学び舎において、倖子は井の中の蛙でしかなかったのだ。そもそも倖子にとって美術とは、母や周りの関心を自分へと集める手段のうちのひとつでしかなく、それ自体に深い愛情をもつ同級生たちとは精神面においても大きな隔たりがあったといえる。

特別でない自分には価値がないと信じる倖子がこの現実に直面し、新たな自身の存在意義を求めるのは当然のことであったといえよう。その渇望にレネゲイドウイルスが答えるかのように彼女はオーヴァードとして覚醒し、文字通り「特別な存在」へと進化したのである。

超常的な能力を手に入れた倖子にUGNが接触した結果、彼女が己の使命として掲げたのは「世界の平和を守ること！」であった。
自身はこの力を活用し、愛すべき普通の人々を守る義務がある。なぜなら自分は特別な存在であるからだ！！
UGNの性質上自身がオーヴァードという特別な存在であると公言できないため、その点に関してのみFHの理念に賛同しているが、彼女にとってFHはあくまでも「倒すべき悪い組織」という認識である。

美大で自身の存在価値を見失った倖子が逃げた先はSNSであった。しかしいくら写真や絵画の心得があれど、一般人である彼女がそこで得られる賞賛の程度などたかがしれている。オーヴァードに覚醒したことでいくらか自尊心は回復したが、それだけで彼女の欲求が満たされるはずもない。そんな折、UGNエージェントとしてついた任務でバスの爆発事故からひとりの少女とペットの犬を救い出す。炎上するバスを背に事故への恐怖、そして救われたことへの安著の表情を浮かべる少女の姿は強く印象に残り、近頃めっきり触ることがなくなっていたカメラのシャッターへと手を伸ばす。
UGNの記憶や情報操作により少女自身には倖子に助けられたという記憶はない。だが倖子が撮った一枚の写真は見るものの心を強く動かす魅力をもち、また「バス事故から生還した奇跡の少女」という写真のインパクトにも後押しされネットやメディア上で瞬く間に拡散された。それにより倖子のSNSは注目を浴び、その後はオーヴァードの能力を利用し一般人には撮ることのできない写真を次々に発表、多くのファンを得る結果となった。
自身がオーヴァードであると公言することなく承認欲求を満たすことが可能となった今、彼女の精神は非常に安定しており、世界の平和のために尽力できている。カメラがなければFHに心動かされる未来もあったかもしれない。
今は美大を中退し、UGNエージェントとして活動する傍らフォトグラファーとしてアーティスト活動も行っている。

バズる写真の多くはバロールのディメンジョンゲートを利用して撮った、一般人には撮りえないアングルや場所の写真である。ただそれらの写真は能力さえあれば容易にとれるというものでは決してない。それはやはり倖子自身のカメラの腕や努力があってはじめて完成するものなのである。
倖子自身は風景写真よりも人物写真を好んでおり、特に個人の感情が強く表れたものを好む傾向にある。SNS上に上げてはいないが、そういった写真だけを集めた「ココ☆ファイル」を作成しており、オルクスの地獄耳で強い感情の気配を感じるとすぐさま飛んでいき写真をとっている。

自分に対して向けられた強い感情やその人自身が強く表れている表情がすき。かわいいおんなのこもすき。

放心…すべての判定ダイスが二個減少。ラウンドのクリンナッププロセスに自動回復
重圧…オートアクション使用不可。マイナーかメジャーで解除
硬直…移動不可。マイナーかメジャーで解除
トライブリード…エフェクト最大レベル-1までしか取得できない。ピュア、100％制限は取得できない。オプショナルシンドロームのエフェクトは80％制限もバツ
DロイスNo3変異種…エフェクトを使用して判定を行う際常にダイスを-1する。ただし、変異種専用エフェクトを組み合わせた場合はその限りではない。