容姿・経歴・その他メモ

「天馬のごとき速さで現れる天才、それこそがこのオレ、天馬ヶ崎才太だ！！」

　とある高校の演劇部に所属する、座長部長を名乗る男の子。
　目立ちたがり屋で普段から騒々しい言動をしているため、周囲からウザがられることもあるが、彼自身の持つカリスマ？によって支持は多い。
　演劇では主役を張ることも多いが、それらは「施設」で過ごして居る時からずっと絵本を読み漁っていたため。物語の主人公になることを夢見ていた過去を持つ。それは今でも変わらないのかもしれない。

　同時に、普通に演劇することができた道もあったのだろうかと思う事もある。
　絵師の父、歌手の母……ヒトとして何か「作品」を残すことを目指している天馬ヶ崎家。
　自分自身もまたそうありたいと思えど──オーヴァードになってしまった自分に、果たして何が残せるのだろうか？　あるいは、異能に目覚めながらも演劇部員としていられる自分は恵まれているのか？

　自らに潜んだ獣性を恐れながら、才太は今日も言葉を紡ぐ。
　せめて、異能たる力が誰かを助けることに使えるよう願いながら。

「『さぁさぁさぁ、勇者のオレを呼んだのは誰だ！？』」


最近は《完全獣化》を使うとしばらく猫耳が引っ込まないのが悩み

履歴

天馬ヶ崎才太は役者である

『われこそはいだいなるゆうしゃ、サールタヒコ！』

　絵本が好きだった。

『まおうをたおし、このせかいにへいわをとりもどそう！』

　お話が好きだった。

『さぁみんな、いまこそたちあがり───』

　だから

『さいたがゆうしゃとか、だっせえよな！』
『そーだそーだ、なきむしさいた！』
『おれのほうがゆうしゃだよな？なぁ！』

　許せなかった。
　オレの演技にケチをつける奴らが。
　オレのことをけなしたあいつらが。

　あぁ、思い出したくもない。
　この手で初めて人を傷つけてしまったあの日を。
　オレがどれだけ恐ろしいモノかを知った日を。
　オレは───ヒーローでも勇者でもないことを悟った日を。

　それでもオレは、お話が好きだった。
　憧れずにはいられなかった。
　初めて本物の劇というものを見たあの日なら、いくらでも思い出せる。
　絵本しか知らなかったオレに、もっと壮大で、より刺激的な物語を魅せてくれたあの時。
　あの瞬間から、オレは役者になると心に決めたんだ。
　誰にも負けないほど発声を練習し、誰からも埋もれないように演技力を磨いた。
　望む役をつかみ取り、舞台に上がり続けた。あの日見た劇の記憶だけが、オレを力強く動かし続けていた。
　そうやって必死だったからだろうか。

『あなたなら、きっと立派な役者になれるわ』
『……そうか』
『えぇ。また来年も楽しみにしてる』

　ずっとUGNチルドレン(オレたち)を見守ってくれていた椿さんのあの言葉が、オレの中で残り続けているのは。

　身近な人に言われて、ようやく気づけた。ずっと、何かに追われるようにこなしてきていたことを。
　そうして初めの、目覚めてしまったあの日から地続きだったオレの生が──役者としての天馬ヶ崎才太の生が、一区切りを迎えたような、そんな気がしたのだった。
　気がしただけで、本当は今でもあの日から変わっていないのかもしれない。オレは今でもずっと、子供のままなのかもしれない。
　それでもなんとなく、オレは変わったのだと思う。変われたのだと思う。
　少なくとも、自分のことを胸を張って自己紹介できるくらいには。

　俺は天馬ヶ崎才太。天翔けるペガサス、天武の才の天馬ヶ崎才太だ。

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