容姿・経歴・その他メモ

【キャラクター概要】
先天的に殺しの才能を持っていた青年。
両親を事故で亡くしてから妹と二人で生きていたが、その妹が正体不明の悪漢に誘拐され、殺される。
妹のもとに駆け付けた時には既に手遅れで、怒りのままにオーヴァードに覚醒。その場にいた全てを殺し尽くした。
全てが終わった直後、妹のもとに逝こうとするも、奇跡的に生きていた妹の最期の言葉で死ねなくなってしまう。

その現場を見ていたらしい都築京香に才能を見出され、彼女に言われるままFHに所属する。
幾つかのセルを転々としており、基本的に死にたいのだが死ねないので、生きる理由を得る為に、誰かに必要とされることで生きようと、命令を寄越す人を求めている。

【欲望】
自分を生かす為に命令を寄越せる人の下で生きる事が表向き。
命令をくれるセルにいるならば、そのセルを居場所として守る事。
死なずに生きること。

妹に怒られることなく死ぬにはどうすればいいのか、その答えを見つけることが本当の欲望。
死人に口なしの為、叶う事がない欲望である。

【成れの果て】
妹の遺志により、生き延びることを第一としているので、最期まで足掻く。
ただ、生き延びることとジャームに化すことがもしも繋がったなら、それすら辞さないのも確か。
生きることだけを目的としたジャームとなるので、周囲に被害が及ぶかといえば基本はそうでもない。だが、生きる為に必要だと命じられればそれを実行する程度には受動的なので、変な人の下につくと厄介。

【アンサー】
何をしても、どんな死に方でも妹に怒られずに死ねるとは思えない。
だが、もしも妹と同じくらいの子を庇って死ねたなら、少しは許してくれるのではないかと安心して死ねる。


【経歴】ネタバレあり
FHシナリオ［Deadman's　Cruise］HO1
FHセル【アクシラリス】に所属していたが、命令（プラン）をくれるというプランナー都築京香についていくことに決めてFH→ゼノスに鞍替えした（裏切った）。

履歴

【死ねなくなった青年の昔話】

　そこに辿り着いた時、もう何もかも終わっていた。

　両親が事故で亡くなり、唯一残った歳の離れた可愛い妹を大事に育て、守り、生きていた。
　なんで自分たちだったのかなんて、そんなことは分からない。
　ただ、妹がいなくなったと気づいて探し回って、ガラの悪い輩に連れていかれたと知って、その場所に乗り込んで。

　そうしたら、地獄が口を開けて待っていた。
　何をやったらそうなるのか分からない、中にいた連中はどいつもこいつも正気ではなくて、そんな奴らの真ん中に転がっていたのが、妹だった。
　なあ、どうしてだ。どうして俺の妹だったんだ。どうして俺だったんだ。どうして、なんで、俺たちがこんな目に合わなきゃいけないんだ。目の前が、赤くなった。
　後ろから頸椎を鉄パイプで殴ると、あっさりと一人が死んだ。顔面を横から打ち付けたら、もう一人死んだ。喉を正面から貫いて刺すと、また死んだ。
　人はこんなにあっさり死ぬんだと、思ったんだったか、思わなかったんだか。気づいた時には、誰も彼もが死んだそこで、妹を見下ろして立っていた。

　小さな体。これからもっと大きくなって、きれいに、かわいらしく、育つ筈だった俺の妹。

　抱き上げると、とても軽い。ああなんで、どうして俺たちがこんな目に合うんだろう。どうして妹がこんなことになるんだろう。
　悩んだところで答えは出ない。その答えを知る前に全て殺してしまった。どんな理由が答えでも、妹がこうなったことに至るのなら、知ったところで意味がない。

　「お、にいちゃん」

　抱き上げた妹が、生きていた。瞼を持ち上げて俺を見る瞳が、震えながら微かに動く唇が、俺に向けられて

　「しな、ないで」

　死なないで―――返り血に染まった俺を見て、最期に妹が言い残した言葉が、俺を雁字搦めに縛り付けた。
　死を望まず、生を望んだ妹の言葉が、鎖となって絡みつく。それは、妹が俺に残した呪い《祝福》だ。

　「……ごめんな、兄ちゃん、間に合わなくて……ごめんな、俺が、俺が……」

　死にたいのに死ねない。生きたくないのに生かされる。
　大口を開けた地獄の先で、まだ、死ねない。

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