―――アタシの弟は…依月は、超能力者だった。
アタシの知らない世界で、一人で戦ってた。アタシがのんびりしてる間に、いくつもの死線を潜ってた。
アタシが弱いから、アタシが何にもできないから…依月を独りにさせたんだ。
依月を失ったのは、全部アタシが悪い。守るための力も、知識も、なんにもないアタシが。

あの日も、普通に過ごしてた。ガッコ―行って、友達と遊んで、帰ってる途中に。焦った依月を見たと思ったら意識が飛んで…
気が付いたら、依月の手を握ってた。ボロボロの身体で、今にも襲い掛かってきそうな顔で。でも必死に抑えながら、アタシの手を握ってたんだ。
「ごめんね」って…そう言って。そのまま倒れて動かなくなった。アタシの目の前で、死んだ。死んだんだよ。

その日から、アタシは力を得た。誰かを護るための力。どんな攻撃も通さない、炎の城壁を。
記憶が飛んじゃうこともあるけど。これで誰かを護ることが、せめてもの償いになればって…そう思ってる。
たまに夢で話すんだ、依月と。まるで夢じゃないみたいに、本当にアタシの中にいるみたいに、話しかけてくるの。
誰かの役にたってることを話すと、喜んでくれるから…その顔が見れるなら、何だってしてやる。