一人称は私。二人称は君。三人称は彼、彼女。
　芝居がかった口調で、基本的に穏和だが、その実、刀を、振るう機会を常に伺っている。
　刀馬鹿かと思いきや以外と物事を考えている。がしかし、結局は常軌を逸した刀と月への執着を優先するため、刀馬鹿という認識を修正する必要はない。
　刀、月に人生を捧げており、その生き方が人として間違っている事は理解しているが、自分が刀(じぶん)であるために、生き方を変えるつもりは毛頭ない。
　他者を斬れそうか斬れなさそうかで分けており、簡単には斬れない相手を特に好む。
　口癖は「刀(わたし)で斬れるかなぁ」。刀と月に対し狂気染みた執着心を見せるが、それは彼の覚醒が大きく関係している。

　数年前、FHによる人工的なRBの発生実験が行われた。これは、人の血を喰らう妖刀に大量の血を喰らわせることにより、剣のRBを人工的に造り出すというモノであった。
　幸か不幸か、...いや、彼にとっては幸運な事に、啼月家は犠牲に選ばれた。
　FHエージェントにより、彼は両親と共に殺され、確かにその心臓を妖刀で貫かれた。
　その時、彼の心を支配したのは、死への恐怖でも、両親を殺された悲しみでも、この状況への憎しみでもなく、血溜まりの中で深紅に輝く月と、血を滴らせ、燃えるように煌めいた剣閃の美しさだった。
　彼は斬擊のような衝動でオーヴァードに覚醒、FHエージェントを素手で斬り殺し、妖刀を奪い取った。
　戻りが遅い事を不審に思った他のFHエージェントが見た光景は、全身血に塗みれ、身の丈を越える妖刀を抱き、闇夜に浮かぶ真っ紅な月を見て不気味に笑う幼い少年の姿だった。

　キュマイラとブラム=ストーカーのクロスブリードで、戦闘スタイルは白兵だが、キュマイラの肉体変化を行うことはできない。
　基本的な戦闘スタイルは、妖刀に自身の血を吸わせ、切れ味を上昇させて、我流の抜刀術で闘う荒々しいモノ。
　しかし侵蝕率の上昇に伴って戦闘スタイルは変化し、自身の闘争本能を限界まで抑圧、抜刀の際に解放することで、抜刀の威力を大幅に上昇させる静かなモノになる。

　啼月黎によって【緋月】と名付けられた、その名の通り緋色の大きな刀。
　人の血を喰らい切れ味を上昇させる妖刀で、血を吸う毎にその緋は深みを増していく。
　FHの研究により造られたが、現在の持ち主である啼月黎によって、その在り方は大きく変容しており、その斬擊はまるで月食のように緋く染まっている。