平穏な神輿島支部での生活は急変した。鳴り続く本土との電話、無限に増える書類の山、情報処理や被害の調査や後処理、御身粉岩運送の手配などなどなどなど大量の支部長業務が降り注いだのであった。
真の戦いとも言うべき事務作業に立ち向かう清美の鬼気迫る形相を見て声をかけられるものなどいるはずもないかと思われたがこの島に所属する天才美少女エージェントは違った。「支部長、市内でワーディングですよー。パターン赤、業ですねー。」
「あんのバカアアァぁぁぁぁぁぁぁああああああああ！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」


業務にひと段落ついた清美は少し行動値が早くなったり多数の雑事を同時に片付けるのが得意になっていた。

戦闘ヘリの操縦席にけたたましい警報音が鳴り続く、機体と地表との距離が着実に狭まりつつあった。
「清美！早く機体の体勢を立て直せ！このままだと墜落するぞ！」前部の射撃手席に座っている同僚の加藤隼夫が叫ぶ。
「わかってるよ！クソッ！機体の制御ができない！なんでだよ！」後部の操縦手席に座っている清美は懸命に操縦桿を握りしめて機体をなんとか立て直そうとするが状況は変わらなかった。
「せめてなんとか安定した状態で不時着させ＿」そう清美が叫ぼうとした時、機体が大きく傾き横倒しになる形で機体は墜落した。

「…！…い！起きろ！清美！」朦朧とした意識が隼夫の声で叩き起こされる。
「隼夫…！っ、あんたその怪我…！！」隼夫の下半身は血まみれになっており足はあらぬ方向を向いていた。一瞬気が動転しかけるがすぐに状況を確認する。機体は大破し火災も起きており、しかも機体の残骸が操縦席からの脱出すら妨げていた。悲壮に暮れる清美に隼夫が声をかける。
「俺がお前を引っ張り出すからお前は助けを呼んでくれ！！このままだと二人とも死ぬぞ！！」
そう言うが早いか、凄まじい力で外にぶん投げられる。地面に叩きつけられるがすぐに立ち上がりちらと機体を見る、その時だった。

燃料に引火し機体が激しく燃え上がる。地面に突き刺さったローターブレードが墓標のように赤く染まっていった。



「支部長…？起きてくださーい！！」聞きなれた部下の声で夢から引き戻される。瞼を開けるとキャシーが心配そうにのぞき込んでいた。
「んん、あぁ…、おはようキャシー。ちょっと居眠りしちまってたみたいだ。」
「居眠りというよりガッツリうなされてましたよ？ちゃんと寝れてます？もしかして昔の事思い出してしまったのかもしれないですけどアレは不幸な事故だって結論出てたはずですよね？」
「そうかもしれないけどね、当事者としては割り切れないもんさ…。ああ、この事チルドレンの子たちには言うんじゃねーぞ。」
「はーい。そういえば凪鳥くん、そろそろ帰ってくるんですよね？受け入れ準備とか書類とか大丈夫ですか？」
「ああ、そうだったね。ちょっとその辺に資料持ってきておいて。あと缶コーヒー1本お願い。」
オッケーですとキャシーが言って外に出たのを見計らって机の引き出しを開け、焼け焦げたドッグタグを見つめ呟く。

「勝手に逝きやがって…。残される方のことも考えろってんだ…。」

UGN神輿島支部の支部長としての平凡な一日を送っていたある日、強力なレネゲイドの反応を感知し、現場の砂浜に急行する。その場で銀髪ケモ耳の少女ハクに抱きしめられている凪鳥彼方、その彼方にフランスパンを咥えながら突撃する土恵途子里、彼方に飛び交っている高須業と遭遇する。
全員を連れ支部に戻るも彼方を求めてハクが脱走。ショッピングモール内で部下3人が色々やらかしたのを説教した。
その後RC訓練に勤しむハクや彼方の面倒を見たり夏祭りで型抜きや射的の腕を披露した。
一巡後は彼方の心の傷やハクの真実を知り、彼方に説教し道を示した。
ハクとの戦いでは“海燕”に搭乗し彼方たちの支援を行った。

御身粉岩の一件がだいたい片付いたある日、島をホワイトヴェノムが強襲、他のメンバー達と共に迎撃に当たる。その後キャシーの正体を知るもいつものキャシーとして向き合い事件の調査に協力した。
ホワイトヴェノムとの決戦では“海燕”に搭乗しメンバー達を支援し、支部長としての責務を果たした。
事件解決後はキャシーを“ナイトフォール”に引き渡し、青井陽廻にレネゲイドスタニング竹刀を託し、彼女の未来への激励をした。

みんなあっという間に成長しちゃうね、嬉しくもあり寂しくもあり…。