被差別部落の生まれた双子。兄がルネ、弟がリュカ。二卵性双生児だが瓜二つな二人である。
その町に生まれた者は人間ではなく、人間を支え、幸福にするため尽力する獣である。という考えが周囲一帯の地域に古くから伝えられていた。
部落の少年少女は両手の指のどこか1本を切り落とす事で部落の一員であると認められる。この施術は子どもが成人する誕生日に行われる。指を切り落とした者は、施術が終わり体調が回復した後、御馳走を振る舞われ、主役としてちやほやされる。
「私達は獣だ。人を幸せにするための獣だ」
そう周囲の大人に言い含められ子ども達は成長する。傍から見れば残酷な風習も、子ども達からすれば立派な獣になる儀式であり、仲間に認められる通過儀礼なのである。施術の後の無礼講が楽しみで、施術の日を待ち遠しく思う子どもも居る。
ルネとリュカは母親の胎内でレネゲイドウイルスに感染した双子だった。共にノイマンシンドロームに目覚めており、リュカは自身を包む環境に疑念を抱き、この悪しき慣習を止めるべく発起した。部落の一部を時間をかけて説き伏せ、自分たちの風習は悪しきものであり、即刻考えを改めるべきである、という考えを浸透させた。
「自分たちは獣ではなく、人である」
「手指の数がなんだ。姿かたちだって全く変わらないじゃないか」
自らが獣では無いという事を思い出した部落の人々の怒りは、これまでの理不尽な境遇に怒りを抱き、支配者であった人間に牙を剥いた。訴えて、話し合って、糾弾して、物を投げつけて、罵り合って、武器を手に取って。あっという間に暴動へと遂げた"獣"達の反乱は、大きな犠牲を出して決着が着いた。
もう部落の少年少女が指を切り落とす事は無い。部落自体が無くなってしまったからだ。
ルネは、片割れの傍でずっとそれを見ていた。
大量の血が流れ、指よりももっと多くを失った結末を見て、片割れに尋ねた。
「ねえ、僕たちは獣のままじゃ駄目だったの？」


ルネは自身を獣だと認識している。人々を幸福にする為の、四つ指の獣の奴隷。
片割れと同じように、ルネも自分たちの部落が他と違う事は理解していた。ここが世界の一部に過ぎない事を知っていた。
けれど。正しくなくても、異常でも、悍ましくとも、蔑まれる因習であっても、その渦中にいる人々が幸福を見ているのなら、それは尊重されるべきなのではないか。
そう思い、今日も人々が幸せである為に尽力している。
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キミはかつて多くを守り、少数を守れなかった経験をもつ
UGNエージェントだ。特に、目の前で失われていった女性――その姿は忘れられないものだろう。
その功績により"英雄"と呼ばれたキミは、何を思っただろうか。

現在のキミはUGN中枢の本部エージェントだ。
その任務は最新の量子コンピュータが弾きだした「大事件の兆候」を元に世界中に赴き、被害を少しでも食い止めて人々を守ること。

相棒のロベルタとともに訪れた世界最大の高層建築物"プラネットラダー"にて果たして事件は発生した。武装組織によるラダーの占拠・爆破行為。
轟音と混乱のなか、キミはラダーの最下層＝海底区画にて１人の「少女」を保護する。
その顔だちは――あのときの女性によく似ていた。
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★閉鎖された塔の【最下層】から脱出せよ。【最上層】のメンバーと協力し、地上を目指せ。
★少女を守り抜け。----