容姿・経歴・その他メモ

中性的な見た目と骨格、そして温和なようで冷静のような雰囲気。
やたらと着こんでいるものの、特に理由はなく昔のやり方が板についているだけのようだ。

"水木黎"という名前もかつて自分を保護してくれた人がつけてくれたもの。
今となってはひとつの仮面(すがた)に過ぎない、と思い込んでいる。
学園島で過ごしたその名前にしがみついているようにも見えるし、この名前をどこまでも
気に入っているようにも見えるのは気のせいだろうか。

今では臨時のボディーガードや、傭兵業で日々を生きている。
カバンに詰めたたくさんの荷物には、僅かばかりの青春(へいおん)が詰まっているようだ。

過去

かつて、黎明(アウロラ)と呼ばれた傭兵のことを知っているだろうか。
数多の戦場にて最前線を突き進み、多くの兵士の心の支えとなった人物だ。
彼のどこが兵士たちの精神を支え続けていたのか？

別に彼が特段強いというわけでもない。彼一人では一気に一人二人葬るのが手一杯だし
かといって最速というわけでもない。多くの兵士たちと交流を積み重ねたわけでもなく
何か特別な力を持っていたというわけでもない。
……なら、彼のどこに皆惹かれたのか。それは、心の強さだ。

どれだけ窮地に陥ろうとも、自軍に一人しか立っていなくとも決してあきらめなかった。
それだけではない。彼が諦めなければ、必ず勝利がもたらされることを経験として
積み重ねていたからだ。その姿勢は多くの兵の支えになった。
彼が立っている限り、まだ諦める時ではないと全員に浸透させたのだ。


────「いくら前が見えずとも、あの人は前を照らしてくれた。まるで、夜明けを知らせるがごとく。」


これにより、彼には敬意をこめて「来たる黎明(アウロラ)」という名前通りのコードネームが与えられた。
その名前と同じにしているのは、彼を形容せずともその名の通りに生きているからだろうか。
彼のその生きざまは、多くの軍人が覚えている。そして、彼を伝説と称えた。

転機

そんな彼の人生が一変する出来事が起きた。
ロシア北部郊外にて、何者かの手によってか数分間『魔王(アザトース)』が顕現。
これは神の気まぐれでの顕現、および欠伸をして家に帰るようなものであったが、辺り一帯を
すべて蹂躙して姿を消した一件。知る人はこれを『空白の5分間』と称している。

彼(アウロラ)もまた、現地に雇われた傭兵として紛争に参加していたところだった。
たった一人を除き全員が発狂、狂乱、暴走する様を目の当たりにし、逃げられずに立ち向かうも
蹂躙を真正面から食らい、北太平洋付近にその身を叩きつけられてしまう。
海の流れに流されるまま、そしてその蹂躙および彼が伝説(アウロラ)であったことすら忘れて──

──学園(アカデミア)に流れ着いたのだ。
そして数多の検査や聴取の結果、記憶喪失であることが明らかに。
UGNの利益的目的に準じつつアカデミアで目が覚めるまで保護されることとなった。
正体を明かさないために評議会は学園に対して彼の身分偽装を要請。
よって彼は金髪を奇抜なピンク色に染め、名をアウロラ改め『水木 黎』と名乗り始めたのだ。

当時のランクはBランク、しかしまだ身体が伝説の動きを覚えているために
EX(エクストラ)ランクを裏付けされていた。およそ半年の学園生活において、彼は
かけがえのない多くの友達を得て、レイン……那邪眞歿水蛭子神を象った少女とも仲良くなった。
学園生活という彼が今後決して経験しないであろう出来事によって水木黎は温かさを覚え、
根底に眠るアウロラの記憶にも苛まれるようになった。

そして魔王(アザトース)と立ち向かう機会が再び巡ってきた。
まるで運命からは逃げられないかのように。根底に眠る彼が再び目を開けた。
レインの力を以て魔王を退けたはいいが……学園生たちにはぽっかりと穴を開けたのだ。

もう一度、彼女に会いたい。レインがそれでもと望んだあの温かい学園生活は
水木、そして学園の皆がいてこそ成り立つもの。それは水木も同じだった。
レインがいてこそ、学園の皆がいて成り立つその幸せを取り戻すため。
彼は自ら学園を去り、自力でレインを取り戻す手段を探し始めたのだった。

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