容姿・経歴・その他メモ

　虚紅(からくれない)

　《裸の王様》によって獲得されるエキストラ。彼女のあかいろの従者。彼女以外には（怪しむ場合知覚対決に勝利しなければ）知覚できない空想上(やみよ)の隣人(からす)。

　外見上は紙人形のような印象を与える深紅の人影。
　厚みは真に０であり、物理的に質量を持たない形あるあかいろである。

　彼らはいついかなるときでも肯定をくれる、彼女の最大の理解者。忠実なしもべ。彼らがいるから、彼女は戦うことができるのだ。


　かわいいね。すごいね。がんばったね。えらいね。つかれたね。やさしいね。

　だいすきだね。ずっといっしょだね。あかいね。きれいだね。

　こわいね？。へいきだね。あかいね。あかいね。まっかだね。

　あかいね。あかいね。あかいね。あかいね。あかいね。



　ーーほかには、なにもいらないね？



　

有縞　いく

　彼女が保護されたのは彼女が６歳になった５月。なにもかもあかに染色された屋敷で、壁に染みついたいろと楽しそうに会話をしていたところだった。

　まだ小さいうちからＵＧＮの、それもこの堕ちた世界で有数の温かみに満ちた支部で教育を受けることができた彼女は、(この世界ではありふれた)異常な出自に反して、健全に成長した。——表面上は。

　
　彼女は、自分が恵まれていると感じている。支部のオーヴァードは誰もが自らを蝕む異能に苦しめられているのに、自らの邪神因子はこんなにもあたたかい。やさしくてしんせつであかくてすてきでみんなもこのいろにーー違う。それは私の心じゃない。ほんとうに？

　彼女は、自分が劣っていると感じている。だってみんなはこんなにも私によくしてくれるのに、私はいつまでも弱いまま。周りのくれないに手伝ってもらってやっと半人前。皆を助けるためにもっとつよくなってすごくなってそのためにこのこたちにあかを捧げて－－？


　笑わないと。頑張らないと。　
　——心配をかけないように。迷惑にならないように。


　笑わないと。「好き」を伝えないと。
　——愛されるために。私を誰かに見つけてもらうために。


　そうやって表情の環を回して。言葉を明るくして。感情を彩色して。……自分を探すための行いでいっそう、元々の自分を見失う。


　つまるところ、有縞いくとは、そんな、この世界においてはありふれた少女である。

　超能力(サイオニック)

　偏頭痛と共に発現する彼女のサイコキネシスは、邪伸因子に塗り潰されそうになる彼女の自我の悲鳴であり、存在主張でもある。

　むしろ、頭痛がなくなり幸福に塗り潰されたときこそが、彼女にとって真に危篤な状況と言えるだろう。

　なお、サイオニック込みでも彼女はオーヴァードとしての地力は非常に低い。これは材料が足りていないからだ。彼女の邪伸因子はたくさんの自らを上手くふるうものがあってこそ初めて力を発揮する。

　絵の具は単体では価値ある絵にはならないのだ。



　

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