容姿・経歴・その他メモ

　軍事会社『ヴォジャノヴァインダストリー』の社長の一人娘。だった。
　『アズレート氏惨殺事件』の時、偶然にも犯行を行った組織とは別のグループに誘拐されていたため命は助かった。が、親が死んだ事、それによって人質としての価値が消え去ったことによって誘拐から数ヶ月の間は野良犬以下の生活をさせられていた。食事は必要最低限以下の残飯だったし、ベッドは固く冷たい凍りつきそうな石畳。調教と称して性的な暴行を加えられることもあったし、入浴など叶うはずもなく朝露があればそれで多少なりとも体を拭くという環境であった。
　元は裕福な出のツェツィにとってそれは耐え難く、屈辱的な生活であったが憎しみと復讐を誓いたとえ石に齧り付いてでも生き延びるという漆黒の意思で生き延びた。
　ある日を境にいきなり自分の待遇が良くなった。風呂には入れるし、十分な食事や衣服も与えられるようになった。十二分と言ってもいい。どういう風の吹き回しかわからず、単純に安堵し、享受していた。
　肌に艶が戻り、伸び放題だった髪も切り揃えられてまともな容姿になった頃、彼女にドレスが贈られた。生地は薄く、露出の多い、まるで娼婦が身につけるようなものだった。それを見た瞬間につい先日まで味わっていたヘドロのような日々がツェツィの脳裏にフラッシュバックした。次の瞬間、甲高いサイレンの様な音と共に、周囲がツェツィを残して凍りついた。レネゲイドウィルスの覚醒である。結局彼女が売り飛ばされることはなく、当時半ば傭兵のような仕事をしていた幽ヶ部辰が謎の凍結を調査している折に救出されることになった。

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