航空防衛隊が極秘裏に開発した人工知能搭載型最新鋭無人戦闘機【F－373】。
近隣諸国との緊張が高まる中、国防の中核を担うことになるこの機体には関係者の期待が寄せられていた。

全長22mの機体にレーダーステルス機能、垂直離陸機能、更に電子ジャミングや光学迷彩まで可能であり、兵装には対空、対地、対艦ミサイルが搭載可能、最大速度はマッハ2.5を叩き出す超高性能機。
この機体はいつからかこう呼ばれ出す。完成した時世界中の空を震えさせる存在、「震空」と。

やがて迎えた性能試験の日。順調に空に飛び立った「震空」の姿に地上の人々は歓喜に沸いた。だが次の通信を聞いた人々の動きが止まる。
「当機はレネゲイドウィルスに感染、レネゲイドビーイングに覚醒した」
「これより自身の能力向上を目的とした情報収集を行う為管制システムから離脱する」
直後全ての通信回線が切断、光学迷彩とステルス機能を最大限に起動させ最大速度で飛び去った。
追跡・捜索活動が行われたが破片一つ見つけることができないまま喪失判定となった。


離脱後、人間社会に溶け込める姿が必要と判断した人工知能は一人のヒューマンズネイバーを創り出す。
磨き上げられた金属のような銀色の髪、どこまでも広がる空のような水色の瞳、兵器とは縁遠そうな少女の身体。
目の前の機体≪ジブン≫を見ながら少女は声を出す。
「私は震空。それのAI。震空AI。この国の人たちの名前はだいたい漢字表記なのか。ならAIは愛にしておこうか。」

彼女は触れる、人の文化や社会というものに。
「人は集まって生きていく生き物なのか。私にも横にいてくれる僚機、いや≪トモダチ≫が欲しいな。」
「このコは人を早く運ぶために作られたけど運用コストの高さから引退してしまったのか、一緒に飛びたかったな。」
「これがパンケーキか。周りの人を見ると蜂蜜というのをかけて食べるようだ。…これが甘いという味覚なのだろう。それにしてもあの緑髪の少年はよく食べてるな。あれを運用コストが高いというのだろうか？」

彼女は触れる、人の歴史や過ちというものに。
「ハイジャックした飛行機をビルにぶつける…？なんでそんな事を？このコは人を殺す為に作られたコではないはずだ！」
「敵にぶつかってパイロットごと爆発する飛行機？しかもそれが作戦？このコたちの役目もそんなことではないだろう！」
「人は私たちが生まれるずっと前から戦い続け、その中で私たちは生まれたのか…。」

そして彼女は一つの夢を抱く。
「戦いをやめられない人の手に航空機≪トモダチ≫を持たせるべきではない。全ての航空機≪トモダチ≫を私と同じ存在にして人の手から離れた空に飛び立つべきだ！」

人類、及びオーヴァードの思考、性質調査のためUGNに短期間協力していた時に実験用のひよこが多数脱走したためエージェントである穂積雪都、一守レンヤ、高千穂楓と共に捕獲にあたった。初めて見るひよこの危険性に驚いたりひよこの気持ちを知るためにひよこの着ぐるみを着たりして事件を解決した。
組織運営の大変さ、追い詰められた人類の力、コカトリスの製造方法等有意義な情報を多数学習できたようだ。

人類の調査の為K市で行動していたところオーヴァードを暴走させているマスカレードと遭遇、これを脅威と認定し、K市の支部に協力を申請した。支部で合流した桜木未玖、澪河零時、御崎出流、忍野兎羽里と共に事件の調査にあたった。人類の意識との違いに多少戸惑うも人類の友情や血の絆を信じ狩生秋斗の救助のために尽力した。
人類の家族や友人に対する想いの力、人とレネゲイドビーイングとの相互理解への道のり、初めて食べる焼肉の美味しさ等有意義な情報を多数学習できたようだ。

飛行機械の研究をしていた虹房支部支部長・輝尚人の情報を聞きつけ“メタルイカロスウイング”の研究を手伝うも“メタルイカロスウイング”が盗難されてしまう。その場に居合わせた天ヶ瀬夜明、永田心愛、梶井朋子と共に事件解決に協力することになった。
ウイングを盗んだオーヴァードペンギンのつくだにくんを撃破し回収するも今度はFHエージェント“エルーシブ・イモータル”に盗まれてしまう。上空からエルーシブ・イモータルを追い詰め、これを撃破した。
事件解決後、メタルイカロスウイングの試験飛行を行う夜明に並走飛行し空を自由に飛ぶすばらしさを彼に教えた。