三条　玄はFHに所属するオーヴァードである。彼は「義賊」を自称しており、金銭を奪取する任務に好んで参加する傾向がある。任務に就いていない時期はフリーターとして過ごしている。

玄はエグザイルの力を使用することで自身の肉体を変化させ、武装することを得意としている。武装の中でも彼が好んで変化先に選ぶものは「杭打機」であり、その腕から射出される骨の杭は堅牢な盾を容易く貫通する威力を有している。

玄自身は好んで戦闘に及んでいるわけではないが、その能力は戦闘を伴う任務において重宝されることが多く、意識しないうちに実戦経験と成果を積み重ねていた。「キルリーダー」という称号は、そんな経緯を経て得たものである。

財を奪い、ばら撒くように散財すること。三条　玄はそのことに執着している。その理由は、玄の生い立ちにある。

玄の父は、大企業、神城グループの出世頭だった。家庭は裕福で、安定した生活を不自由なく送っていた。だが、その生活が長く続くことはなかった。

10年以上も前の或る日、玄の父は自ら命を絶った。それは玄の父が同僚に騙され手柄を横取りされた挙句、企業に大きな損害を与えた責任を押し付けられたことが原因だった。

玄も、玄の母も、家長の死に深く沈んでいた。だが、不幸はそれだけでは終わらなかった。その同僚は自身の借金を玄の父の名義に書き換え、玄の母に多額の負債を負わせていたのである。玄の母も、夫の死から数年の内に死亡した。最愛の夫の死と生活苦の2つに心を病んだことが原因だった。

玄は、財産を取り戻し安寧のうちに暮らしたいなどと考えているわけではない。その一方で、この世界には正しくない方法で築かれた富があることを理解してしまった。そして玄は、それらを糺されるべきだと考えた。

玄が財を奪い、流転させようとするのは、歪に積みあがる富を嫌悪するからに他ならない。