元孤児で、その中から選ばれた被験者。
被験体の時の名前は『No.L05』で、人間の頃の記憶が消えてしまっている。
FHの施設で人間にレネゲイドのウィルスを埋め込んで、半レネゲイドビーイングにする実験をしていた。そして何万人もの被験体の中で半レネゲイドビーイングになれたのは楪だけだった。
ある日部屋の壁に向かってひとりごとを話していたら返事が返って来た。
それが楪の友人『No.L04』、通称『フォエル』。フォエルと壁を挟んで会話することが日課になって、憂鬱な毎日が楽しくなった。
何ヶ月後、唐突に謎の部屋に集められた被験者達。その時に初めてフォエルと顔を合わせた。
やっと会えた喜びもつかぬま、部屋にレネゲイドウィルスが蔓延する。
耐えきれずに倒れる仲間を尻目にフォエルと出る方法を探す。
しかし目が覚めた時には怪物になれ果てたフォエルが次々と殺戮を繰り返していた。
そしてフォエル、怪物と目が合うと天井から一つの拳銃が落ちてくる。
楪はそれと怪物を交互に見つめる。
怪物は楪を理解しているようで何もしてこない。
フォエルは友人を助け出そうと怪物ながら考えていた。
アナウンスが響く。
『ソイツを殺さなければ君も死ぬことになる。』
冷たい言葉が頭を貫く。
楪は躊躇った。
怪物は銃を拾う。
そして楪に手渡す。

ハッキリとした表情は見えない。
だけど、その顔が酷く安心して、優しく見えて、


拳銃を受け取り、フォエルに向けた。