ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

ソフィア・クインズロード - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

“碧天の緋”ソフィア・クインズロード

プレイヤー:アマネ@岸田文雄

自由登録 オーヴァードアカデミア D9卓夜更かし卓

最強(リカルド)の隣に並び立てるオーヴァードになる。
───それが、私の夢だ。

年齢
15歳
性別
星座
水瓶座
身長
157㎝
体重
44kg
血液型
AB型
ワークス
優等生(高等部)
カヴァー
碧の少女
ブリード
クロスブリード
シンドローム
ソラリス
ブラム=ストーカー
HP最大値
24
常備化ポイント
12
財産ポイント
6
行動値
6
戦闘移動
11
全力移動
22

経験点

消費
+34
未使用
0
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 クインズロードは、由緒正しき一族である。
名家の生まれ
経験 ソフィア・クインズロードは生まれながらにしてすべてを有していた。ゆえに、ソフィア・クインズロードは孤独であった。
孤独
邂逅/欲望 【最強のオーヴァードの隣に並び立つことのできるオーヴァード】となる。それがソフィア・クインズロードの胸に秘めた夢だ。
覚醒 侵蝕値 奇跡的なバランスで調和するレネゲイド,オーヴァードとしてのスキル。それらは全てソフィアが先天的に持つものである。
生誕 17
衝動 侵蝕値 ソフィアのレネゲイドウイルスが持つ衝動は、彼女の幼少期に形成された。「誰も【(ソフィア)】を見てくれない」、「自身すらも【(クインズロード)】に縛られている」。「鬱屈した世界から脱却したい」、「【(クインズロード)】を脱ぎ捨ててしまいたい」。そんな切実な苦悩,欲望(ねがい)によって、彼女のレネゲイドは【解放】の衝動を得た。
解放 18
侵蝕率基本値35

能力値

肉体1 感覚2 精神2 社会4
シンドローム0+1 シンドローム0+2 シンドローム1+1 シンドローム3+0
ワークス ワークス ワークス ワークス1
成長 成長 成長 成長
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵 射撃 RC 交渉1
回避 知覚 意志 調達2
知識:レネゲイド1 情報:アカデミア1
知識:心理1

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 頂の証(シュープリームスチューデント) 通常、能力ランクはSランクを最高位とするが、ソフィアはそれを超越した能力を有する。 「種別:ランク」アイテムである“SSランク”を取得する。
固定 安藤リカルド(幼少期) 純愛 劣等感 YE 今の私が居るのはリカルドのおかげなんだ。だから私も彼に追いつけるように。護られてばかりじゃなくて、支え合えるようになりたい。
固定 英雄譚 幸福感 偏愛 WH リカルドの話してくれた物語はどれも素敵なものだった。私も、英雄になれなくても…それでも誰かのためにこの力(レネゲイド)を使いたい。私が私自身を好きでいてあげるためにも。
シナリオ(転校生) 安藤リカルド(現在) 慕情 不安 あの頃から随分と多くの事が変わってしまった。でも、変わらないものは確かにここにある。それに、変わったものだってしっかりと向き合って見てあげれば悪いことばかりじゃない。

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(LV)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
覚醒の秘薬 1 イニシアチブ So 自動成功 単体 視界 2D10 120%
(1/1) RW.43P 行動済みのキャラクターを対象とする。対象は未行動になる。このエフェクトはあなたを対象に出来ない。 1シナリオ1回まで
アクセル 5 セットアッププロセス Ou 自動成功 単体 視界 1
(5/5) EA.113P ラウンド間、対象の【行動値】+[Lv*2]
ラピッドファクトリー 2 セットアッププロセス So 自動成功 範囲(選択) 至近 3 リミット
(2/3) BC.67P このエフェクトを組み合わせたエフェクトの対象を「範囲(選択)」、射程を至近に変更する。 1シナリオLv回まで
活性の霧 2 セットアッププロセス So 自動成功 単体 視界 3
(2/5) HR.83P ラウンド間、対象の攻撃力+[Lv*3],ドッジの判定ダイス-2個。
鮮血の奏者 1 セットアッププロセス Br 自動成功 単体 視界 4
(1/3) RW.35P [Lv]点以下の任意の値だけHPを消費する。ラウンド間、対象の攻撃力+[消費したHP*3]
エクスプロージョン 3 メジャーアクション Ou/〈RC〉 対決 範囲(選択) 視界 3
(3/3) EA.114P 射撃攻撃 [攻撃力:+8] 1シナリオLv回まで
ツインバースト 1 メジャーアクション So/シンドローム 対決 3 リミット
(1/3) BC.67P 《エクスプロージョン》と組み合わせて使用する。 組み合わせた攻撃の攻撃力+[Lv*3],対象はドッジを行えない。
麗しの容貌 1 常時 So 自動成功 自身 至近
(1/1) EA.119P あなたは体内物質の生成によって常に最適な美容状況を維持できる。外見は常に老いを感じさせない美しさとなり、健康に置いても優良な状態が維持される。ただし、このエフェクトによって顔のつくりなど元来の容貌が変化することはない。また、GMは極限状態などの環境的要因によってこのエフェクトの使用を制限してもよい。
瀉血 1 常時 Br 自動成功 自身 至近
(1/1) EA.55P 汚染されたり、老廃して悪くなった血液を排出することで美しい容姿と健康を保ち続けるエフェクト。クリアーになった血液はたとえほとんど日光の下に出ない生活を送っていたとしても、あなたに玲瓏で優雅な美しさを約束する。

コンボ

セットアップ

組み合わせ
《アクセル》+《ラピッドファクトリー》+《活性の霧》+《鮮血の奏者》(サングイン)
タイミング
セットアッププロセス
技能
難易度
自動成功
対象
範囲(選択)
射程
至近
侵蝕値
11
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力

100%未満
➡行動値+10,攻撃力+24,ドッジダイス-2個 HP1点失う
100%以上
➡行動値+12,攻撃力+30,ドッジダイス-2個 HP2点失う
160%以上
➡行動値+14,攻撃力+36,ドッジダイス-2個 HP3点失う

メジャー

組み合わせ
《エクスプロージョン》+《ツインバースト》
タイミング
メジャーアクション
技能
RC
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
視界
侵蝕値
6
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
2
10
11
100%以上
2
10
14

ドッジ不可

イニシアチブ

組み合わせ
《覚醒の秘薬》(SSランク)
タイミング
イニシアチブ
技能
難易度
自動成功
対象
範囲(選択)
射程
視界
侵蝕値
2D10+10
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力

対象を未行動にする

武器常備化経験点種別技能命中攻撃力ガード
射程解説
特殊プラスチックシールド 4 白兵 〈白兵〉 -2 1 4 至近 武器アイテム
IA.25P
一般アイテム常備化経験点種別技能解説
SSランク 0 ランク ユニークアイテム(ランク)
DR.44P
Dロイス【頂の証】により取得
エフェクトを使用する直前に宣言する。そのエフェクトが「対象:単体」であれば「対象:範囲(選択)」に、「対象:範囲(選択)」であれば、「射程:視界」,「対象:シーン(選択)」に変更する。組み合わせて使用する場合は最終的な対象に効果を適応すること。
使用すると侵蝕率+10 1シナリオ1回まで

彼女が一人の最強である証。
だが、彼女はまだまだ歩みを止めない。夢を果たすために。
藍碧の腕輪(サングイン) 15 一般 ユニークアイテム(Br)
IA.78P
Brの「任意のHPを消費する」ことで効果を決定するエフェクトを使用した場合、実際に消費したHPに+5して効果を算出することが出来る。
────────────────────────
彼女の碧き血を活性化させる腕輪。
藍碧(パライバトルマリン)が埋め込まれている。
彼女の《エフェクト》に呼応するように光り輝く。
ラッキーメダル:ホワイト 2 一般 一般アイテム(オーヴァードアカデミア)
DR.41P
【社会】の判定及び【社会】を使用した判定の達成値+1
戦闘中はこの効果を適応できない。

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
0 0 149 15 0 164 0/164
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

碧天の緋

「美しい──そう形容するしかないね。」
「碧天の如き血を纏う美少女...いやぁ実に神秘的な光景だった。あの姿を見ることのできた人は本当に幸運だよ」

──とあるBランク生徒

パーソナルデータ

[プロフィール]

名前ソフィア・クインズロード二つ名碧天の緋
愛称ソフィアランクSSランク
好きなものリカルドに教えてもらった物語苦手なもの注目されること

概要

性格・容姿

美しい銀髪碧眼の少女。
他者と交流することや、人から注目されることが苦手なこともあり、周囲からは近寄りがたいと思われている。

実際は人の不幸に心を痛め、人の幸福を心から喜べる優しい性格である。
また、注目されることを嫌ってはいるものの、誰かのために自分の力が必要な際は自身の力を使うことも惜しまない。

容姿やミステリアスな雰囲気(仲の良い友人が居ないだけ)も相まって、学園内では密かに人気を集めている。

SSランク

彼女は学園に片手で数えきれるほどしかいないとされる「SSランク」生徒である。
彼女の能力を一言で表すと、『血液やレネゲイドを活性化』させるというものである。

傍から見てあまり目立たない単純な能力であること、あまり派手な《エフェクト》を使用できるわけではないこと、本人が普段人前で自身の力を使わないこと、そして何より、自分のランクを公表していないこともあり、彼女を「SSランク」と知る生徒は学園島内にはほぼ存在しない。

しかし、彼女の学力の高さ、Rファイトに全く顔を出さず、誰も彼女について詳しくないというミステリアスな要素を持つ彼女を、「A~Sランク」ほどの隠れた実力者だと予想する生徒も多くいるとか。

クインズロード家

クインズロード家は100年以上もの歴史がある由緒正しき家系である。
どの界隈においてもある程度の影響力を持ち、UGNとも良好な関係を築き上げている。

本家はイギリスにあるが、ソフィアは12歳となるタイミングで学園島へと移住する。
その背景にはソフィアへ英才教育を施すという目的があり、ソフィアは学園島へと渡る前にもUGNの教習所で訓練などを受けさせられていた。

過去

興が乗って筆が進み過ぎた。反省はしていないが後悔はちょっとしてる。
読む際は長いのでお覚悟を。

怒られたり、ダメですって言われたらギャン泣きしながら名前変えてメモにコピペだけして消します。

ソフィア・クインズロード(1)

 ソフィア・クインズロードはありとあらゆるモノを生まれながらにして持っていた。

 裕福な家庭、天才的なレネゲイド能力、天性の聡慧さ、約束された将来。

 ゆえに、私は『友達』を得たことは一度も無かった。


 何をしても私は一番であり続けた。

 大人達のソフィア・クインズロードという器への大きな期待。

 周りの子どもたちのソフィア・クインズロードという立場への強い嫉妬。


 努力を放棄しようと、悪い子になろうと、ソフィア・クインズロードへと向けられる感情は変化しない。

 『ソフィア』を見てくれる存在など、一人もいなかった。

ソフィア・クインズロード(2)

 6歳時にUGNの教習所に入れられ、教習所でレネゲイドを学び始めて4年目。私は一人の少年、『安藤リカルド』と出会う。

 その少年は傍から見ていてわかるほどのやんちゃ坊主であり、『最強のオーヴァード』だと自称する問題児であった。

 確かに同年代の中では、能力の高さは不安定ながらも目を見張るものがあった。しかし、そもそも不安定な出力であり、最大出力を出し切ったとしても「同年代の子たちと比べて上の下」といった程度であり、お世辞にも『最強のオーヴァード』などとは到底思えないモノであった。

 そんな少年と同じ教習所で訓練,勉強を共にするになり、数か月。少年への興味もほとんど霧散していた頃に、私は人生で最大の転機を迎えることとなる。

 それは、とある夏の日の放課後。教室へ忘れ物を取りに戻ろうとした私は、そこであるものを見た。


 意外な事に、まだ教室内に一人だけ男の子が残っていた。

 その光景を見て、私は思わず息を呑んだ。

教室内の席の一つに座り机に向き合っていた男の子は、両手で竹刀を構えたままピタリと静止し、微動だにしていなかったのだ。

 無音の教室の中で、呼吸音どころか、微かな衣擦れの音さえも聞こえず、更に言えば入り口のドアから入室した私にも一切気が付いていないようで、まるで教室内の時が止まっているのかと思わされるような光景だった。

 瞬きや呼吸による肺の僅かな動きさえ感じられず、不気味と言っても良い程に、強い違和感を抱かざるを得ない光景。

 まるで、それ自体が一つの人間離れしたパフォーマンスであるかのような姿に、私は無言で見入ってしまっていた。

 どうにも集中しているような様子だったので、私は邪魔にならないように近づいてその人を見る。そして私は更に衝撃を受けることとなる。

 そう、私の目の前にいた男の子は、教習所内で問題児とされていた男の子だった。


 彼は私が近づいた事にさえ気付いていない様子で、一心に竹刀にレネゲイドを込め続けた。

 彼の持つ竹刀には強い光が灯もっており、あと僅かで《エフェクト》が発現する寸前だった。

 私は、直に訪れるであろう発現の瞬間を見届けようと、異常な緊張感の中で彼の手元を見つめていた。


 しかし、その直後。


 蝋燭(ろうそく)の火を吹き消すかのように、一瞬にして竹刀に灯っていた光は失われた。

 「……っ!! はああぁぁ……っ」

 すると、まるで止まっていた時が慌しく動き始めたかのように空気が変わり、彼は窒息寸前から辛うじて息継ぎをするように大きく息を吸った。

 「はああーーーー、……駄目か」

 たっぷり吸った息を吐くと、彼は両手を机の下にダランと落としながら悔しそうに呟いた。


 ──凄い。ただただそう思うしかなかった。発現こそしなかった。だが、10年間。その少年の姿は私が今まで見てきたどんな《エフェクト》よりも遥か高みの境地にあるように感じさせられた。

ソフィア・クインズロード(3)

 私に気が付いた彼は驚きながらも、私を教室に招き入れた。

 その後は、色々なお話をした。今、練習していたのは《オーバーロード》のエフェクトを自己流にアレンジしたものであり、その技の名前はとある逸話から取った『セルマン・デ・デュランダル』という名であるということであったり、レネゲイドを好きになれない私に対して、レネゲイドにまつわる物語を話してくれたり、そのどれもが私にとってとても心躍る話だった。


 以降、私たちはよくお話をしたり、放課後には集まって《エフェクト》の発現の練習をするような仲へとなっていった。


 私を知らなかったからかもしれない。私に興味が無かったからかもしれない。だが、『ソフィア・クインズロード』ではなく、ただの『ソフィア』として接してくれる彼と過ごす時間は私にとって、とても特別なものであった。



 「どうだ、ソフィア。前より少しは、レネゲイドを好きになれたか?」

 「うん……!リカルドのお陰で、レネゲイドの勉強も、実技の練習も、最近は凄く楽しいよ……!」

 「そうか」

 私が答えると、彼は優しく笑った。

 「ソフィアは折角才能あるんだから、何かレネゲイドでやりたい事とか、夢が出来ると良いと思うんだがな」

 「やりたいこと……夢……。考えた事、なかった……」

 「ま、才能に人生を縛られる必要はないし、これからゆっくり見つけていけば良いと思うぜ」


 「……リカルドは、夢……ある?」


 「ああ、あるぞ」


 「……どんな夢か、聞いても良い?」


 私が尋ねると、リカルドは真っ直ぐな目を私に向けた。


 「俺の夢は、最強のオーヴァードだ」


 「最強の、オーヴァード……?」


 「ああ」


 聞き返した私に対して頷くと、リカルドは続けた。


 「最強のオーヴァードになって、助けが必要な人や、誰かの大切なモノの為に……、戦えない人の代わりに、俺が戦う。英雄譚の主人公のように、誰かの為に戦える最強のオーヴァードになる事───」


「───それが、俺の夢だ」


 そう語った彼の姿は、今でも目に焼き付いて忘れられない。

 とても真っ直ぐで、優しく、力強い瞳だった。


 彼としばらく一緒に過ごして、彼がオーヴァードに強い憧れを抱いている事は分かっていた。

 でも、それを加味しても、どうして彼がそこまで一生懸命努力を続けられるのか疑問だった。

 けれど、自身の夢を語る彼の言葉を聞いた時、その理由が分かった気がした。


 きっと、そのどこまでも高潔な信念と目標こそが、安藤リカルドという人間を突き動かし続けたのだろう。

 だからこそ、誰もが諦めてしまうような困難の中でも彼は己の道を進み続ける事が出来たのだと、私は深く納得する事が出来た。


 「………すごい、素敵な夢だね」


 とても大きな夢で、遥か高みにある目標。

 けれど、彼の言葉に嘘偽りなどない事は疑いようがなかった。

 彼が本気で『最強のオーヴァード』を目指している事、そしてその理由を聞き、感動と敬意が胸の中一杯に溢れ、私は自然とそう呟いた。


「なれるよ、リカルドなら……!絶対、最強のオーヴァードに……!」


 その時のリカルドは珍しく驚き、言葉を詰まらせているようだった。

ソフィア・クインズロード(4)

 私にとって初めての『友達』が出来て1か月。彼と過ごす時間は私にとってとても幸せなものだった。

 しかし、幸せとは長くは続かないものだ。


 ある日、私の机の中に一通の手紙が入っていた。内容は
『貴方に大切なお願いがあります。放課後、誰にも告げずに"第二東棟一階、一番奥の空き教室"に一人で来て下さい』
というものであった。


 差出人は不明、用件も不明瞭だったけど、私は書かれている通りに、放課後一人で指定の教室まで行く事にした。

 もしかしたら、何かに困っている人がいて、私にしか頼れないような事情があるかもしれなかったから。

 誰かが私を頼るのであれば、それを無碍にはしたくなかったから。


 思えば、私も考えが浅はかだった。リカルドは例外であり、依然として私の事を嫌う生徒は多く存在したのだ。


 教室へ入った瞬間、突然、何者かが背後から布状の何かを私の口元に強く押し付けてきた。

 私は反射的に、背後から密着している人物から離れようとしたが、驚いた私は思わずそのまま鼻で大きく息を吸ってしまった。

 「………っ」

 どこかツンと来るような、仄かに甘い匂いを感じたのを最後に、私の意識は途切れた。


 「……ちゃんと眠ったみたいね」

 「顔、見られてないよね?」

 「平気よ。手足縛るから、手伝って」

 「分かった」


 「ねぇ、本当にバレないかな?」

 「荷車に乗せるまでに誰かに見られなければ、ね。気を付けて運ぼ」

 「だね」

 「あ、猿轡もしなきゃ。上体支ささえてて」

 「うん。よいしょっ」




 ………


 ……


 「お嬢ちゃん達、大きな荷車引いてどこに行くんだい?」

 「レネゲイドの実験で使う素材を、山まで取りに行くんです!」

 「そう~、偉いわねぇ。でも、山奥は熊や狼が出るかもしれないから、あんまり奥まで入ったら危ないわよぉ」

 「はい!気を付けます!」

 「頑張ってねぇ」

 「有難う御座います!」


 ………


 ……


 …


 「ね、ねぇ」

 「どうしたの?」

 「もし今、荷台の中のクインズロードさんが起きたらどうするの?」

 「手足と口元を縛って、木の蓋もしてあるんだから平気よ」

 「でも、クインズロードさんならレネゲイドで簡単に開けられるんじゃない?」

 「言ってなかった?彼女に吸わせた薬品は気絶させて暫く動けなくさせるだけじゃなくて、レネゲイドの流れを乱す効果もあるから平気よ」

 「あ、そうなんだ」

 「それに、手足を縛るのに使ったロープにもレネゲイドの流れを抑制する石を合成してあるから、あの子でもそうそうレネゲイドは使えないわ」

 「抜かりないね」

 「当然よ。……誰かに聞かれたらマズいから、もうこの話は終わりね。もうすぐ街の外だから、それまでは怪しまれないようにね」

 「おっけー」


 ………


 ……


 …


 「よいしょ、っと」

 「ここまで運べば、簡単には人目に付かないね」

 「そうね。あはは、クインズロードさん、起きたらどんな反応するかしら?」

 「怖くて泣いちゃうんじゃない?ふふっ」

 「あははは、良い気味ね。いくらレネゲイドの才能があったって、こんな簡単に無力になるんじゃ無様だわ」

 「ふふっ、そうだね。一人じゃこの状況をどうにかする事も出来ないくせに、いつも上から目線なスカした態度で、思い上がり過ぎよね」

 「ほんと、ちょっと顔が良くてオーヴァードとしての才能があるからって、調子に乗りすぎよね」

 「まぁでも流石に、これで少しは懲りるんじゃない?」

 「ふふっ、そうね。あ、でも分かりやすいようにちゃんとメッセージも残しておかなきゃね」

 「それは大事だね。……っと、そろそろ戻ろ。学校に荷車とか戻さなきゃ」

 「あ、そうね。バッグも第二東棟に置いたままだしね」


 ………


 ……


 …


 「……ふぅ。誰にも気付かれずに済んだね」

 「そうね。これで、誰もクインズロードさんの居場所は分からないわ」

 「じゃあ、バッグも回収したし、帰ろっか」

 「うん」


 「……あっ、そう言えば!」

 「なに?どうしたの?」

 「個別回収の課題の提出日っていつまでだったっけ?」

 「あー、確か今日ね。なに、まだ出してなかったの?」

 「わー!すっかり忘れてた!私、提出してくるから先に帰ってて!」

 「はぁ、しっかりしなさいよ。……分かったわ、また明日ね」

 「うん、また明日!」


 ………


 ……


 「(あれ?おかしいな、バッグの中に課題が入ってない……)」

 「(あ、そうだ!休み時間に終わらせて、そのままロッカーにしまったままだ!)」

 「(教室、取りに戻らなきゃ……!)」

ソフィア・クインズロード(5)

 「(……あれ……、ここ……どこ……?)」

 私が目を覚ますと、そこは見覚えの無い雑木林の中だった。


 「(……動け、ない……)」


 必死に動こうとしても、身体にはまるで力が入らないうえに、両手は背中側でロープ状のものに縛られ、足も同様に縛られて動きが制限されていた。


 「(……痛い……それに、苦しい……)」


 また、布のような物が私の両顎の間に噛ませるようにして頭部に強く結ばれていた為に息苦しく、締め付けられるような痛みも感じた。


 「(どうして私、こんな所に……)」


 頭に靄がかかったように茫然とする意識の中、自分の身に何が起きているのか理解が出来ずにいた私は、ただ混乱していた。

 そして、目が覚めてから時間が経ち、少しずつ意識がハッキリとし始めてきた私は、どうしてこんな状況になっているのか把握する為、覚えている限りの記憶の整理を始めた。


 「(……確か、手紙で呼び出されて、指定された教室に行って……それで……)」


 教室内に見えた後姿の女子生徒に声を掛けた直後、何者かに背後から襲われたのを最後に記憶は途切れていた。


 「(………あれ、これ……なんだろう……)」


 記憶を思い起こしている途中で、ふと、自分の側にメモ用紙が落ちている事に気が付いた。

 私はどうにか上半身を動かしながら必死に覗き込み、書かれたいたメッセージを読んだ。


 「(………っ)」


 『お前に、誰かと仲良くなる資格はない』


 無骨な字でそう書かれていたメッセージを読んだ時、私は何で自分がこんな状況になっているのかを理解した。


 「(そっか……。騙されたんだ、私……)」


 誰の筆跡か分からないように敢えて無骨な書き方のされているであろうその字は、私を学校で呼び出したメモ用紙と全く同じ書き方だった。

 きっと、犯人が分かり易いように同じ書き方をしたのだろう。

 そのお陰で、教習所で貰ったメッセージから既に私を騙す為のものだったのだと、容易に理解出来た。

 その場に残されたメッセージから察するに、犯人は私がリカルドと仲良くする事が気に食わなくてこんな事をしたのだろう、と私は思った。

 私の事を嫌っている子はきっと沢山いる。私が誰かと仲良くしているだけで気に食わないと思う子による犯行なのだと、私は結論に至った。


 私は、ただ───


 「(───誰かの力に、なってあげたかっただけなのに……)」


 「(他の周りの人から嫌われても、リカルドとさえ一緒にいられたら……それで良かったのに……)」


 嫌われ者の私は友達と一緒に過ごす事さえ許されず、誰かを助けようとすれば騙される。

 それが酷く悲しく、惨みじめで、思わず両目に涙が滲にじみ、目の前の景色が歪んだ。


 ………


 ……


 …


 暫く悲しみに暮れた後に私を襲ったのは、強い恐怖心だった。

 私のいた森の中は近くで人が通るような気配など一切無く、既に日は落ち始めていた。

 更に、私の身体は未だに力が入らず、手足を縛るロープをレネゲイドで解こうとしても上手くいかず、自力で動く事が出来なかった。
 また、両親は本家に残っていた為、家には誰もいなかった。

 つまり、私がいなくなった事に気付く人間が存在せず、誰かの捜索が入る事にも期待出来なかった。

 私がどこにいるのか、私自身を含めて誰も知らない。そんな状況下で誰かの助けなど入る訳がなかった。


 時間が経つにつれて、その恐怖は現実味を増していった。


 どこかも分からない森の中、身動きの取れないまま魔物や熊に襲われるかもしれなかったし、そうでなくとも、このまま誰にも見つからずに飢え死にするかもしれなかった。



 恐怖と焦燥感から、私の心は今にも押し潰されそうだった。


 「(怖いよ……辛いよ……。誰か、助けて……)」


 目が覚めてから何時間経っただろうか。


 完全に日の暮れかかった頃、絶望の中で私が心から縋った相手は───。


 「(助けて、リカルド……っ)」


 ──その時だった。


 ガサガサと、草木を掻き分け足元の落ち葉を踏み鳴らすような足音が、遠くの方から聞こえて来た。

 私がいなくなった事やここにいる事を知っている人物はいない筈はず。だから、きっと私を捜している人ではない。


 先程まで人の気配など一切なかった森に、日の暮れた時間から植物等の採集に来る人もいないだろう。

 だとすれば、獣か、山賊の類か。


 いずれにせよ、見つかれば命の保障はなかった。


 どうにか見つからないように私は必死に息を殺した。


 「(お願い……、こっちに来ないで……っ)」


 しかし、祈りも虚しく足音は徐々に私の方に近づいて来た。

 そして、足音の主は私のすぐ背後で足を止めた。

 「(………ッ)」

 私は体を強張らせ、覚悟するようにギュっと目を強く閉じた。

 その直後。

 「随分ずいぶん気持ち良さそうな森林浴だな。でも、もう日も暮れてるし帰ろうぜ」

 聞こえてきたのは、その時私がこの世界で最も聞きたいと願っていた声だった。

ソフィアとリカルド

 その後は、動けない私をリカルドが背負って帰ることになった。

 何故、リカルドは私の居場所が分かったのか、とても不思議だった。


 ただ、それ以上に私はずっと気になっていたことを彼に聞くことにした。


 「何でリカルドはいつも私を助けてくれるの?」


 「何でってそりゃ───ソフィアは、誰よりもめちゃくちゃ努力してるだろ。たとえ、誰にも認められなくても、レネゲイドを好きになれなくても。それでもソフィアは誰よりも努力してた。だから俺はソフィアを認めてんだよ」


 ───嬉しかった、本当に。誰も見てくれていなかった『ソフィア』を、気付いてくれていなかった『私』を彼はとっくに見つけてくれていた。 


 「っておい、ソフィア?どうしたんだよ?」


 リカルドが私を見つけてくれていた事実が嬉しくて、本当に、本当に嬉しくて、止め処なく涙が溢れていた。この時の私は本当にひどい顔をしていたと思う。



 そして私は初めて夢というものを見つけた。



 私は、彼とずっとずっと一緒にいたい。

 私も、彼のように素敵な人になりたい。

 彼は、いずれ必ず最強のオーヴァードになる。



 だから私も、そんな彼の隣にいられるように、立派なオーヴァードになる。


 最強のオーヴァードを支えられるような、隣にいても誰にも文句を言われないような、そんなオーヴァードになる。

 「ずっとあなたの隣にいたい」、いつか胸を張って彼にそう言えるようになるまでは、彼には打ち明けられない。

 だから、必ず私は"最強の隣にいられるようなオーヴァード"になる。



 ───それが、私の夢だ。



 私が学園島に渡り、学園に入学して4年。彼は学園島にやって来た。
 かつてあった問題視されていた自信過剰な性格はすっかりと鳴りを潜めていた。

 あの頃からは随分と多くのものが変わっていってしまった。
 ……けど、それでも、私の彼に対する憧れは、昔から何一つ変わらない。

 誰よりも努力してる人を尊敬し、いつだって誰かの力になろうとする。

 優しくて、思いやりがあって、努力家で、正義感が強くて、自分以外の誰かの為に己の身を犠牲に出来るような、そんな素敵な彼の芯の部分は、昔から何一つ変わってなどいないから。


 だから彼は今でもずっと、私にとっては世界一の憧れの人だ。

雑記

ジャーム化したくないジャーム化したくないジャーム化したくない

あ、成長は《活性の霧》と《鮮血の奏者》を伸ばします
あとは《不死者の恩寵》《無限の血肉》とか
正直これだけで大分完結してる感じはする。ドッジはやるとしたら《命の盾》+《血霧の盾》とかになるのかな?うーん活性の霧がキツイね
後は周りの構成によっては《栄光の血》とか取るのもアリかも
《ハイブリーディング》も取ろう
忘れてたけどアージの《解放の雫》もトップクラスで欲しい枠
最終的には《タブレット》+《多重生成》で《ハイブリーディング》も噛ませて味方に1ラウンド3回行動させたいね。

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 30
イージーエフェクト 4

チャットパレット