容姿・経歴・その他メモ

都心よりやや離れたところで普通の学生をしていた男の子。
趣味はゲーム、所謂オタク。特にゲームセンターで音ゲーコーナーに張り付くタイプ。
物心がついた時から父親がおらず、されど離婚したわけでも死別したわけでもないらしい。
母曰く「遠い外国の地を転々としながら仕事してるから、アンタが生まれてからここ１０数年一回も帰ってこないのよ」とのこと。
生活費も学費も十分に振り込まれており、今のところ不自由な生活はしていない。
ただその影響か、父親の顔を知らず、昴が記憶している限り会ったこともない。
嫌いではない。ただ、母親からも「そこに居ないことが当たり前」となった父親の存在を憐れに思っている。

たまたま学校がテスト期間で下校が早くて、たまたまいつもとは違うゲーセンに寄って、たまたまいつもと違うルートで帰路を辿る、そんないつもとは違う日だった。
目の前で起こる二次元の世界のような場景――ＵＧＮとＦＨの抗争を目撃し、結果として巻き込まれてしまったのだ。
血溜まりから当然のように人が起き上がる。コンクリートで舗装された地面が捲りあがる。炎が地面を舐めるように這いまわり、光が鞭のように歪んで曲がる。
驚愕、恐怖、興奮。様々な感情が入り乱れる中、突き動かされるように足がふらりと踏み出される。
――誰かがこちらを見つめていた気がした。

昴が覚えているのはここまで。
気が付けば病院で拘束された状態で目を覚まし、ぞろぞろとやってきた大人たちに「君はあの戦いに巻き込まれて覚醒し、暴走した。だけどどうやらジャーム化するほど浸食が進んでいなかった。なので保護、という形で身柄を拘束させてもらったよ」と説明を受け、そこで初めて自身の身に起きたこと、あの場で起きた戦闘、レネゲイドウイルスなどのことを知る。

「その感じだと、オレ、帰るの難しい感じっすか」

「残念だけど、そうだね。君は結構暴れたみたいだからね」
「でもそんなに浸食も進んでないし、まだ間に合うと判断したんだ。まだジャーム化していないとね」
「実はね、君が居たから、あれ以上の被害を出さずに戦闘を終わらせることができたんだ。…その様子じゃあ、覚えてないかもしれないけどね」
「……それに、偶然とはいえ一般人を巻き込んだことはこちらの落ち度でもある」
「だからね。君に新しい環境を用意するよ。そのシンドローム…超常の力に振り回されないように。若さ故の可能性を摘みたいわけじゃあないからね」

「えぇっと……つまり、転校？」

「そういうことになるね」

かくして母親への説明もそこそこに。なんとかかんとか言いくるめて
オーヴァード達のための孤島――『オーヴァードアカデミア』へやって来た。

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