容姿・経歴・その他メモ

「舌を仕舞いたまえ」
ここは日本のT都、S区にある何の変哲もない公園。
抱えあげている眼の前の子犬に、アルフレッド・J・コードウェルは呆れたように言った。
この子犬、血統書付きの秋田犬である。
先日、ちょっとした物資の奪還を依頼したが……
その成果が、舌を出しっぱなしでハッハッハッハと息を吐いているこの犬である。
何をどう間違ってそうなったのか、相手にしてやられたと言うべきか。
「そんなに暑いかね？ 折角だ、キミも次の世界で生きるべき存在になるか？」
サラマンダーの素質があるかもしれないぞ…… と語る眼の前。
相変わらず子犬は舌を出したまま、尻尾を振っている。
馬鹿なことをしていると自分自身に失笑し、この子犬の処遇を決めかねていた。
動物実験に使うにはまだ小さすぎる。
処分しても構わないのだが、一度気まぐれで餌をやったのだから今更処分するのもまた無駄である。
そう考えていると、サラリーマンが目に入る。
ペット関係の雑誌を読みふけっているようだが……
漏れ聞こえる呟きから察するに、ペットの購入を検討しているらしい。
もう一つ気まぐれを重ねてもいいだろうと、声をかけることにした。
オーヴァードに拾われた子犬が、どの様に一般家庭で育つのか。
……次の実験の内容が決まったようだ。

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