容姿・経歴・その他メモ

神と交わった狂人の娘。
音々の母親は『聖なる光教団』という組織の一員であり、『真実』を追い求める熱心な信奉者であったという。
教団の思想が先鋭化し、テロ等準備罪で強制捜査・組織解体に陥った際、確保された音々の母親は彼女を妊娠していた。
様々な調査の結果、その女は性経験のない処女であることが判明した。
当の本人は既に正気を保っておらず、虚ろな目でただ『この子は神様からの授かりものなんです』と繰り返し呟いていたという。
女の生家は資産家で、醜聞を気にした両親は彼女を半ば監禁に近い形で家の奥に追いやり、音々は生まれてから母親が他界するまでの7年、外の世界を知らずに閉じた部屋の中で生きていた。
それゆえに、音々は気が付かなかった。
自分以外の人間には、このキラキラが見えていないのだと。
そこかしこがまばゆく玉虫色に煌めき、母や祖父母が触手を震わす原形質のクラゲのような姿に見えているのが自分だけだと、気づくことがなかった。
だからどうして祖父母や、母の死後に出会った外の世界の人々が自分を気味悪がるのか、音々には全くわからなかった。
転機が訪れたのは10歳の時、彼女は不思議な夢を見た。
ランドルフ・カーターと名乗る奇妙な紳士と、星々の果てまで旅をするキラキラの夢。
角度と次元の門を超えた先、星の彼方で彼は音々を見て「君には、世界の真の姿が見えているんだね」と優しく呟くと、両の手で少女の目をそっと覆い隠した。
音々が目を覚ますと、世界は靄がかかったようだった。
音々は不思議と理解していた。
キラキラはどこにも見えなくて、起こしに来た使用人は見たこともない形をしていたけれど、これがきっと自分以外の人間が見ていた世界なのだと。
自分の目の前に浮いている小さな輝きの欠片こそが、今まで自分が見ていた世界なのだろうと。

ヴェールを被らずに生まれた少女は、銀鍵の旅人によって真実から遠ざけられた。
残ったのは、彼女だけに見える小さなお友達。
剥ぎ取られた真実が形をなした｜邪神因子顕現体《レネゲイドビーイング》―――少女が『キラメキちゃん』と呼ぶ、ダオロスの化身『聖なる光』。
今の彼女は普通の女子高生だ。
実家が少し裕福で、カワイイものが大好きで、世界の真の姿を友としてその身に宿す、至って普通の｜神話生物《オーヴァード》だ。

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