容姿・経歴・その他メモ

神よあなたは　わたしには
歪(ゆが)んだ靈(たましひ)をつくられた
嗟(ああ)　どのやうにやつてみても
これは幸福の匣(はこ)には納まらぬ
――佐藤春夫『歎息』

誕生日

10月31日

好きなもの

音楽、読書、雨、松茸のお吸い物

嫌いなもの

タケノコを象ったチョコ菓子

苦手なもの

感情表現

　乱れた銀髪に緑の瞳、血色の悪い肌、常に羽織っているよれよれの白衣と肩に担いだギターケースがトレードマークの女性。顔も喋り方も無表情で淡々としている。外見上の年齢は20代くらい。
　その正体は人間の死体に寄生した真菌（キノコやカビの仲間）である。人間とは根本的に異なる存在ゆえにアイデンティティが不安定であり、その裏返しとして人間に対する好奇心が強い。その一方で自身が人ならざる異形であることに対してコンプレックスが強く、なかなか他者と親密になることができずにいる。
　“ユミル”は自我を得た際に本能的に頭に浮かんでいた名だといい、その後ずっと自分の名前として名乗っている。“茸田”は「日本で活動するには名字があったほうが便利」という理由で適当に付けた。

■生態

　生物学的には、昆虫寄生性の子嚢菌であるオフィオコルジケプス属の一種（Ophiocordyceps sp.）と見られる。人為的なものと思しき遺伝子変異の痕跡がゲノム上に数千ヶ所あり、意図を持ってデザインされたミュータント生物だと示唆されている。
　宿主の肉体に菌糸を張り巡らせ、電気信号の授受によって運動機能をジャックしつつ感覚も共有している。本体の生命活動および宿主の肉体維持のための栄養は宿主側の消化器官を介して摂取している（つまり、普通の人間と同じように食事をする）。会話も可能であり、もちろん知性もある。
　キノコなので湿度の高い環境を好む。来日当初は橋の下に無許可でビニールハウスを設置して住んでいたが、行政に撤去されたため現在はアパートの部屋を勝手に温室に改造している。
　一般的な食事に加えて真菌培養用の特殊な栄養剤を毎日摂取する必要があり、栄養剤入りのアンプルを常に持ち歩いている。海外で研究用に製造されている製品を個人輸入で仕入れており、ただでさえ多くない収入をますます圧迫している。

■経歴

　元々は外国のとある研究施設において怪しげな実験の末に生まれた真菌のEXレネゲイドだったらしいが、その頃の記憶は極めて曖昧にしか憶えていない。その後なんらかの経緯で現在の宿主である死体に寄生したが、この際、本体のレネゲイドと宿主の持っていたレネゲイドが相互作用を起こして活性化し、レネゲイドビーイングとしての自我を獲得した。オルクスが本来のシンドローム、ブラム=ストーカーが宿主由来のシンドロームである。
　物心ついた時には既に現在の肉体に入っており、おびただしい数の死体が転がった研究施設の中に独りで立っていた。壊滅状態の研究施設を去り、各地を放浪する中でゼノスと出会い、その一員となった。
　現在はゼノスのエージェントとして各地を転々としている。社会に溶け込むための表の顔として“さすらいのミュージシャン”を名乗っており、時々駅前などで弾き語りをしている。ギターの演奏は上手いのだが、抑揚のなさすぎる歌声のせいか人気は芳しくない。

■キーワード

フォックスファイア

英語のfoxfireは「朽ちた樹木が燐光を放って光る現象」を指し、その正体は樹木の上で生育した菌類の生物発光である。“fox-”は“false/偽の”を意味する古フランス語“faux”に由来するとされ、動物の“fox/狐”とは関係ない。人魂のような怪奇現象あるいは妖怪を意味する日本語の“狐火”とも別物である。ちなみにユミルの目が緑色なのも菌糸の発光による。

Theme song: 夜鷹 / きのこ帝国

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