【今回のシナリオまでの概要】
『マルコ』の前隊長にして前継承者だった母親が
"エレウシスの秘儀"によって引き起こされたレネゲイド災害で殉職したため、
急遽"綿津見"の継承者となって就任した新隊長。
豪華寝台列車“マリンスノー”への強襲作戦が初任務となった。
“エレウシスの秘儀”を巡る戦いの中で出会ったレネゲイドビーイングの少女を救うために自身が持つ"遺産"の力を手放し、マルコ班の隊長職を副官のアイシェに託してその職務を降りる。
(シナリオ:「エレウシスの秘儀」)
だが、FHエージェント“戯曲王”再来事件で再びMM地区へと戻ることになった千洋は、かつての仇敵“プランナー”都築京香の差し金により自身の“遺産”の力を取り戻し、再び戦いの日々に身を投じることとなってしまう。
(SS:「アムピトリーテーの欠片(仮)」)
千洋はテレーズに辞表を提出済であるものの班員達の強い希望により休職扱いとなっており、「隊長代理」は現在アイシェが務めている。
そんな千洋の元へテレーズからの連絡が来るところから物語は始まる。
【人物】
海神"綿津見"を祀る安曇家に生まれ、
神をその身に降ろす"巫女"として育てられた16歳の少女。
本来ならば最低でも成人を待って継承が行われるが、
母親の殉職がきっかけで予定よりも大幅に早く日常から投げ出される結果となってしまった。
“エレウシスの秘儀事件”当時は完成しきっていない覚悟を使命感と復讐心でなんとか支えている状態で、本心は未だに整理ができていない状態だった。
現在はレネゲイドビーイングの少女との出会いや“戯曲王”との戦いを経て自身の運命を受け入れる覚悟が定まるにつれ、徐々に“巫女”としての本当の力を発揮していく。
『マルコ』の隊員からの評価は悪くなく、"綿津見"の記憶継承もあってよく信頼されている。
一方で千洋の方はその信頼に十分に応える自信がなく、バツの悪さを感じてしまう。
コードネームは関係者で考えて付けた模様。
“エレウシスの秘儀事件”後に千洋がその力の殆どを喪った時でもその信頼は揺るがず、あくまで休職扱いとして班員達は「隊長」の帰還を待ち続けている。
シンドロームはバロールのピュアブリード。
彼女本来のオーヴァードとしての能力は決して高くないが、
"綿津見"に意識を切り替えることで絶大な力を発揮する。
周囲数百メートルにも及ぶ広範囲のレネゲイドを支配下におき、海流を彷彿とさせるレネゲイドの波濤で多数の敵を圧殺する。
この能力は防御面でより強力な役割を果たしており、高密度のレネゲイドの障壁が展開されることによって並の攻撃では彼女に傷一つつけることができない。
【“エレウシスの秘儀”】
“マリンスノー”車内で出会ったレネゲイドビーイングの少女。
仲間である「霜月冷下」の妹の名から「霜月美波」と名付けられた。
千洋と非常に近い性質を持つ海のレネゲイドビーイングであり、生命力を操る力を持つ。
レネゲイドのコントロールが不安定なため、千洋が自らの能力と引き換えに“遺産”を使って暴走を抑え込む状態が続いていた。
その結果、千洋は満足に戦える体ではなくなり“戯曲王”との戦いの中で窮地に陥ってしまう。
だが、かつての仇敵“プランナー”都築京香からもたらされた「千年石」の能力によって千洋と美波の2人を同じ「海のレネゲイドビーイング」として同一視・再定義を行うことで千洋の“遺産”の能力を復活させることに成功。
繋がりが強化されたことで美波のそばに常に千洋が控えている必要はなくなったが・・・
【母親:安曇 玲海(アズミ レミ)】
UGNレネゲイド災害緊急対応班『マルコ』前隊長
レネゲイドの力を断つ"遺産"の太刀を奮う女傑。
"海獅子"との異名を持ち、班のエンブレムの元となっている。
日本UGN支部設立の頃から自身の正体を隠したまま協力関係を結び、多数の事件を解決してきた。
面影島事件の後、レネゲイドビーイングの存在が知れ渡った際に班員や上層部など一部の人物に自身の正体を明かしたが、関係はあまり変わらなかった模様。
レネゲイド災害を引き起こす遺産"エレウシスの秘儀"を追う任務中に殉職。
彼女の最期の言葉により、隊長職が次代の継承者へ引き継がれることが決まった。
外見上若く見えていたが、レネゲイドビーイングのため享年は不明。
班の象徴たる"遺産"もこの時に失われた。
【憑依共生型レネゲイドビーイング"綿津見(ワダツミ)"】
安曇家で代々祀られ、"巫女"を通して顕現してきた日本古来よりの神性の一種。
その正体は、海原で死亡した人々の想念の集合体に海洋信仰が結びついて発生したレネゲイドビーイング。
決まった姿は持たないが、有角の鯨のような姿だと信じられている。
"巫女"の適性に合わせて神器を与えることで知られており、玲海には太刀、千洋には外套を与えている。
神性として独立した意識を持ち、特に戦闘時には表層意識として現れる。
"巫女"にはそれまでの継承者の記憶は共有されているようだ。
カレの声は声帯を通じてではなく、オーヴァードにのみ感知出来るレネゲイドの波動によって発声されている。(EE:シークレットトーク)
シンドローム分類的にはバロールに該当すると考えられている。
まるで水没と錯覚するような高密度のワーディングを放ち、周辺のレネゲイドを支配下に置くことが可能。
射程圏内の敵は全て一度に圧殺することができる他、出力を上げることによって巨大な列車すらも鉄屑に変えてしまうことができる。
玲海はUGNへ綿津見を「憑依共生型」と説明したが正しい説明ではない。
安曇家の女は適齢になると海神への人身御供として海へ沈められる。
そして深海の海神と一体化した後、自身を主人格としたレネゲイドビーイングとして再復活を遂げる。
人の身に神を降ろすのではなく、人であることを辞めて彼岸から「神の一部」を持ち帰る。
それが安曇の"巫女"、"綿津見"の継承者の真の役割だった。
(補足:Dロイスの転生者にイメージが近い)
千洋も例外ではない。
友達と決めた部活もカッコいい先輩も期末テストの対策も、今はこんなにも遠い。