容姿・経歴・その他メモ
プロフィール
試験管ベイビーであり生粋のFHチルドレン。
プロジェクト・インフィニティコードから派生した、より洗練されたウロボロスの能力者を作り出すための実験。
その被検者として産み落とされたいくつもの複製体のうちの一人であり実験の成果の結晶、それが神崎玖々璃である。
幼少期より実験の事など露知らず他のFHチルドレンと同様にレネゲイドコントロールや戦闘技術の訓練を受けて過ごしていた彼女は、チルドレン故の多少の人間性の欠落こそあれど普通の感性を持った少女として育った。
そんな彼女の人生が一変したのは10歳のある日。
彼女が連れられたのは1つの訓練室。そしてそこに居たのは、何人もの自分と同じ顔をした人間だった。
集められた彼女達に命じられたのは殺し合い。他の個体を食らい力を取り込む輪廻の性質を応用した、実験の最終段階だった。
結果として玖々璃は最後の一人まで生き残った。最も強い生への執着を抱き自分自身の姿をした全ての被検体を切り伏せた彼女は、ウロボロスの持つ性質か、はたまたその生存欲求がそうさせたのか、より強力な能力を発現させ晴れて実験の成功例となった。
それ以降の彼女は実験の成果に相応しく多くの敵を屠り、幾多の任務を成功に導くエリート戦闘員として他のエージェントの追随を許さぬ活躍を見せるようになった。
しかし実験による心的外傷は大きく、実験以前は持ち合わせていた一般的な感性は著しく損なわれ、他者や目の前の光景、果ては自分自身にすら現実感を抱けなくなる現実感消失症を患うことになる。
そんな彼女が一時的に現実感と生への執着を抱けるようになるのが戦場であり、より死に近づけば近づくほど、強い敵に相対するほどそれは顕著になる。
それ故に夢幻泡影の如き彼女は生の為に死を求め、より己を脅かす存在を求めて戦場を彷徨うのだ。
「生きてる意味なんていくら考えてもわかんなかった。けどあの時、惨たらしく死んでいくたくさんの私を見て思ったんだ。こうはなりたくないな、って」
パーソナリティ
長い黒髪とどこか遠いところを見るような焦点の合わない赤色の瞳を携えた少女。
起伏に乏しい感情とそれに伴った希薄な表情、抑揚のない淡々とした口調は人間味を感じさせず、対話相手を機械と話しているような感覚に陥らせる。
現実感消失症によるものか常にどこかうわの空でぼんやりとしており、何度も呼びかけないと相手に気付きもしないこともざらである。
日常生活における深刻な現実感の喪失を引き起こしている彼女はあらゆる物に対する興味が薄く、自身の生命活動に必要な物以外に対してはほとんど執着しない。
そんな彼女が唯一強い執着を示すのは『自分に生きているという実感を与えてくれるもの』。それは即ち彼女に於いては『死』であり、迫り来る『死』を乗り越えた瞬間こそが彼女にとって最も自らの生を実感し、自己意識を現実へと引き戻してくれるという。
それ故に彼女は強者を好み、任務に於いても常に最も危険な役割に進んで就こうとする。
普段の冷淡な様子と幾多の敵を切り伏せた実績から殺戮マシーンのような扱いを受けることも多い彼女ではあるが、戦場にてひとたび現実感を取り戻すことが出来た後しばらくは表情も豊かになり、それなりの人間味を見せるようになる。
しかしそれもまた一時的なものであり、そこからまた時間が経てば普段の様相に戻ってしまう。
「私が少し刀を振るえば、その人の何年、何十年の積み重ねは全部儚く崩れていく」
「死の前には何もかもが無意味。だからこそ私は、死を乗り越えた先に生きる意味を感じるの」
現世は胡蝶の夢の如く。人の生など無価値であると断じながら、それでも縋り付いてしまうのは何故なのかと、彼女は己の生きる意味を問い続ける。
シンドローム
ウロボロスのピュアブリード。
数多のウロボロスシンドロームの例に漏れず、他シンドロームのエフェクトの模倣やレネゲイドの捕食、影の行使といった基本的な能力を備えてはいるが、彼女の戦闘スタイルはそれらの能力にほとんど依存していない、ウロボロスの中でも一際特殊なものである。
そんな彼女が戦闘において用いるのは日本刀一本のみ。レネゲイドコントロールによる攻撃は行わず、自身の身体能力からなる戦闘技術と常識外れの速さの刀捌きのみで大抵のオーヴァードを無傷で屠ってしまう。
ウロボロスの特徴に当てはまらない戦い方を取るために相手からしてみればそのシンドロームの判別は困難であり、辛うじて彼女の振るう刀の刃先から描かれる黒い残光が判別手段となっている。
黒い残光は捕食の作用を持っており、物理的な攻撃のみならずレネゲイドを由来とした炎や雷、光までも切り裂くことを可能としている。
ただでさえ刀一本のみで大多数のFHエージェントと比べて突出した戦闘能力を持つ彼女だが、その真価が発揮されるのは明確な“死”に直面した時である。
自らの生命に危機が迫った時彼女はそのウロボロスの性質を色濃く発現させ、急速に相手のレネゲイドの性質を取り込み模倣し、その身体能力と刀の捕食能力を更に強化する。
通常のウロボロスとはかけ離れた戦闘スタイルはウロボロスの完成系を求めた実験関係者のFH研究員達に数多の疑問を齎したが、『原初の蛇から分かたれ、一つに戻らんとする』という輪廻の言を体現した、これこそが“一”の形に最も近いのではないかという説も飛び交っている。しかしながらあくまで学説に過ぎず、その真偽は定かではない。