ファラオ。それは古代エジプトを支配した王のことであり、彼らは政治と宗教のどちらにおいても多いな力を持っていた。
　そして分断されていた上下エジプトを初めて統一したのがエジプト第一王朝であり、その最初のファラオこそメネスである。
　だが、この伝承には未だ議論の余地がある。果たしてメネスは本当に存在したのか。一説には、最初期のファラオたちを集合的に呼んだともされる。


　メネスを名乗り今を生きる存在。彼の正体はレネゲイドビーイングである。
　ミイラとなったネメス（少なくともそう扱われていたファラオ）の肉体に宿ったレネゲイドは、ミイラに残っていた情報をそのまま自らのものとし、同一化した。ミイラはレネゲイドビーイングとなり、そのままネメスを名乗るようになった。

　その覚醒が如何なる理由によって引き起こされたのか、それは定かではない。さるプランによって、意図的に覚醒が引き起こされたのか。それとも古代エジプトでは多少のレネゲイドへの知識があり、ミイラ化が不完全ながら覚醒を促す儀式だったのか。いずれにせよ、彼が目覚めたという事実は変わらないのだ。我々にとって大事なのは、彼が（おそらく正確な）古代エジプトの知識を持ち、天空神に託されただろう「遺産」を持っているということなのだから。


　ファラオは、ホルスが地上で生きるための化身、すなわち現人神であるとされた。もし仮に、それが真実だったとしたら？　少なくとも始まりのファラオは真にホルスであり、人間とは異なるものとして活動していたとしたら？
　メネスの使うエフェクトには、自己を保存する能力があるという。ファラオのミイラのうち、最古とされるものは紀元前16世紀ごろ。それより1400年ほど前の彼が、なぜレネゲイドビーイングとなるほどに保全されていたのか。
　メネスという存在は、わずかな資料に名前が残るばかり。人ならざる彼の記録を抹消しようとした存在がいたのでは？　例えば、人でありながらホルスの化身を名乗ろうとした、後世のファラオだとか。
　メネスがレネゲイドビーイングとなったのは、ミイラとなった後なのか。或いは初めからレネゲイドビーイングだったのか。真実は天空神のうちにしか無いのだろう。