私は「『正義』の味方」になりたかった。彼の道程を肯定したかった。けれど、共に歩くことは叶わなかった。他ならぬ、自分のせいで。
――――だから、悪役になった。
結局抑えきれなかった衝動のすべてを今度は自分から解放して、何もかも殺して、殺して、殺して。辺りを血に染めながら、楽しい食事をした。幸いにも美味しいものはそこらじゅうに溢れかえっていた。まあ時折そそられないものもあったけれど、それでも多くのものを手にかけた。
私は、｜悪《ひとでなし》になった。
｜彼に倒されるべき敵《悪》になった。

でも、まだ足りない。
こんな小物、彼が打ち倒すに相応しくない。これくらいじゃ、彼の「正義」に釣り合わない。
それなら頂点を目指そう。たしか「悪の総裁」なんて、あの戦隊ものは言ってたっけ。それに成ろう。
それまでは何としてでも死ぬわけにはいかない。今がどんなに虚しくても、投げ出したくなっても、相対するその日まで。


いつかお前に再会できるのが楽しみでしょうがないよ。
きっとお前はその時までずっと「正義」を貫いてくれているんだろうね。
私が信じて憧れたのは、そういうところなんだから。


「さあ、｜裁い《殺し》てよ、｜ヒーロー《世綯》。」
「その正義を証明してみせて」