ブロンドの長髪で、翡翠色の目をした女。
レネゲイドの高まりによって、彼女の周りが煌めく様は時代が違えば妖精と見間違うほど儚く美しい。
が、それ以上に彼女の凛とした佇まいはかつて英雄と呼ばれた男の影をちらつかせる。
本来の彼女はもう少し背が低く身体も未熟だがキュマイラの力で外見を弄っており子供の姿には見えない。
あとは彼女の精神が身体に追いつくだけだ。

心優しく、相手に決して嘘をつかないほど誠実。
だが相手を突き放すような物言いで人を遠ざけ、自分から人と関わろうとしない。
決してそれは人が嫌いということではなく、人に対する恐怖からくるもの。

人里離れた山奥で雪(セツ)に育てられ充実した生活を送っていたが、マルドゥークに雪(セツ)を殺されその後故郷に見切りをつけ都築と出会った。
ゼノスメンバーとしての彼女は礼儀正しく振舞っているがそれは都築と表面上良い関係を築くための物であり今のゼノスに彼女が心を開いている者はいない。

亜純血によりバロールの力が増幅されており、より強力なベクトルの操作を行える。
反対にキュマイラの力は減衰しているため体を変形させるようなことは出来ず、軽い身体強化程度の事しか行えない。
サイドリールとバロールの力の応用で彼女の周りには鏡のように見えるものが空中を漂わせることが出来る。
弾丸を周囲の鏡に反射させることで威力の増幅、有効射程の拡大及び規格外の精密射撃を可能とする。
半径20m範囲内で彼女の凶弾を防ぐことはほぼ不可能である。
空間掌握型のオルクスオーヴァードと超耐久特化のキュマイラオーヴァードなどには相性が悪い。

雪(セツ)から与えられた名は雛菊(ひなぎく)であるが、故郷を去った後は楪(ゆずりは)と自称している。
彼女の名前が雛菊(ひなぎく)であることは普通同郷の者しか知り得ない。

めぐるとの対話で雪(セツ)の言葉と向き合い、紬生との対話で自分のすべきことを見つけた。
未知花(みちか)にかつて自分を護った雪(セツ)を重ねた。
憎しみはある、恐怖もある。それでも護ると誓った。
自分やアベルのような復讐者をもう見たくないから。
自分勝手で独りよがりな女の話

雛菊が選んだのは過去を肯定しそれを背負って生きていく道。
それによって二度と会えない人もいる、防げたかもしれない悲劇もある。
それでもそれを乗り越えて今を生きている人を、悲劇によって生まれた幸福をなかった事には出来ない。
これから様々な困難が彼女を苦しめるだろう。だが乗り越えられるはずだ、今彼女の隣には彼がいるから。