はっつーにとって、姉の空は切っても切り離せない大切な存在で、例えオーヴァードになってしまっても日常を取り留める一番重要な存在だった。その彼女が、FH……いや、"ドッグマスター"鷹条映一に殺害されてしまったのだ。

事は1年前に遡る。

人気が下火になっていた頃のはっつー。しかし、UGNでは天音の舞姫として日本中で有名で人気であった。実力も申し分なく、旧相棒の舞夏 風奈との任務ではほぼほぼ失敗することはなかった。(因みに今風奈は今、藤崎玄一の部下で某ファルコンブレードと同じく日本各地の支部に派遣されるエージェントとして活躍している)

それもあってか、イリーガルでも結構な強さを持ち合わせており、アイドルとしての影響もあってか、知名度も高かった。

それが最悪のシナリオを生み出すとは
あの時は誰も思っていなかっただろう。

あまりにも有名になってしまい、FHからはその内止められない程の危険人物になると危惧されてしまう。そして……"反逆の聖人"アルフレッド・J・コードウェルに目をつけられ、"ドッグマスター"鷹条映一に命じた。「『初音葵』を処理しろ」と。

そうして、事件は起きる。
初音葵の誕生日の日。
初音空が、FHに攫われたという事件が。

はっつーはUGNの仲間達の制止を振り払い、姉の事だけを思いたった一人で攫われたと情報が出た場所にいち早く乗り込んだ。しかし、、それは罠だった。

そこにいたのはムーンドッグの軍勢の一部と鷹条映一。そして鳥籠に入れられた空の姿だった。そこからは死に物狂いで姉を救う為に鷹条に戦った、が……どう考えても戦闘経験が圧倒的に高い鷹条に勝てるわけもなく、更に軍勢の一部にも攻撃を喰らい無情にも倒れる。

そして、、鷹条は、命令通り初音葵を
「処理」、「殺害」した。

姉である空は対ワーティングゴーグルを付けられており、世界の真実、そして殺された妹を見て絶望と憤怒、そしてどうしようもない悲しみに襲われる。しかしそれも束の間、妹と同じ場所に送るという唯一の情けとして、空も同時に殺害されたのだった。

そこから、ムーンドッグの軍勢達はその場から去っていった。死んだ初音葵を残して。

…………

『どうか、生きて』

……彼女は、死んだはずだった。
19歳の誕生日の日に。

……その筈だった。

……しかし、何故か……

彼女を生かそうとする、声が聞こえてくる。