UGNに拾われて育ち、その価値観に染められ、ただ強くなるために日々を過ごした。
それ故か時折一般社会を知るチルドレンと価値観の衝突と不和を引き起こしていた。
UGNで教わった在り方を否定され、それ以外を知らない蛇穴は理解が出来ずただ不満を募らせた。
そんな中、EXレネゲイド白蛇の熊澤に出会う。
熊澤はUGNによって捕獲され飼育ゲージに入れられており偶然通りかかった彼女を見上げ助けを求める様に掠れた音で鳴いた。
その様に親近感を覚えた蛇穴は職員に懇願し飼育員となり熊澤と接触。
職員たちはこの交流によって彼女のコミュニケーション能力も向上するのではと微かな希望を持った。
しかし、彼女は熊澤との接触以降他チルドレンとの交流を断ち一人と一匹だけで多くの時間を過ごすこととなる。
職員たちの健闘空しく孤立をより深めた彼女は力こそあれ連携の取れないただ扱いにくいチルドレンとなった。
ただし、この縁が無ければ蛇穴の精神状態はより悪くなっていたであろうことは言うまでもない。
一般社会でいう所の中等部の中ごろに差し掛かってきた頃流石の彼女も焦り出した。
しかし、この状況を変えなければならないという思いはあるものの
足を踏み出す勇気を持つことができず、日々が過ぎていった。
そんな所にゾディアックウェポンの適正資格試験の話が舞い込む。
ゾディアックウェポンユーザーは、彼女らチルドレンたちの憧れであり、尊敬の的だ。
蛇穴はもし自分がこの武器を扱えるようになれば、今まで距離を置かれていたチルドレン達が向こうから話しかけてくれるのではないかと考えた。そしてこちらから話しかけるなどと言う悪寒がするほどの恥辱屈辱をも避けられるのではないかとの期待もあった。
こうした思いから、彼女は訓練に取り組んだ。彼女は不出来なチルドレンではなかった、こと戦闘においては確かな実力を発揮した。彼女はその実力をさらに高めるため、努力し、訓練を重ねていった。
しかし、適性試験に彼女は落とされた。選ばれたのは名も知らぬチルドレンだった。
彼女は初めて他チルドレンに興味を持った。最初は妬みからだった。
負の感情からの行動力だけは妙にある彼女はゾディアックウェポンを継承したチルドレンの名を調べ上げ所属支部にカチコミに行った。
名も知らぬチルドレンの名は「天恒 澄」というらしかった。
彼女を追って目にしたのは彼女の戦いぶりだった。蛇穴は初めて他者に対して感嘆の声を上げた。
それから蛇穴は熊澤と共に支部を引っ越した。
チルドレン達の憧れの的、ゾディアックウェポンユーザーを支える人間になるために。