グランドオープニング
　所属する支部の応接室に呼び出され、そこで待つ義兄・伏見 鷹幸から面影島支部への異動と支部長就任の話を受ける。どうやら元は彼に回ってきた辞令らしいが、彼はまだ日本支部ですることがあるらしい。理由について深く聞かず、そんな辺鄙な場所で腐らせるべき人物ではないと思ったために首を縦に振った。


1話　Birdcage
　一人きりの支部であると聞いてやってきた面影島支部。そこで真っ先に会ったのは前任の支部長である時雨京一郎、その人だった。彼がUGNとの連絡を絶った理由は「UGNの仕事に疲れたから辞めたい」「妻とゆっくり暮らしたい」というものだった。戦場で死ぬことが役割の自分にとっては解せぬ理由であったが、彼が嘘をついているようには思えず、意見を尊重することにした。そうして時を同じくしてやってきたチルドレン・天見雫と共に時雨夫妻に面倒を見られる日々が始まった。島で立て続けに起こる奇妙な現象と向き合いながら、出された宿題に頭を悩ませている。今はまだしばらくこれについて考えられそうもない……。


2話 Yesterday Once More
　昨晩確実に倒した“ナイチンゲール”小鳥遊小夜が何食わぬ顔で翌朝登校して来た姿を見て、“黄泉還り”の存在を信じざるを得なくなった。それらの調査に踏み出す、その直前で次の事件が巻き起こる。明確な殺意でもって殺された少女。彼女の殺害方法からそれがオーヴァードの犯行によるものであることを断定してから、彼の中に胸騒ぎが生まれる。この島にいる、エフェクトを自在に使いこなすオーヴァードは多くはない。――そう、「彼」しかこの犯行はあり得ない。証拠がそれを物語っていた。しかし、その理由を聞き出すには、あまりに遅すぎた。この島を預けられた立場として、彼を許すことは出来なかった。しかし同時に、立場がなければ自分はどうするのか、それに答えは出ることなく、彼とは別れることとなった……。


3話 Invater Festa
　UGNの支部長という立場の持つ責任に押し潰されそうになりながら、数日を過ごした。彼が父親であればどれだけよかったかと思うほどには慕っていた彼に対し何も出来なかった、自分は傷付けるばかりで守ることなど出来もしない、と悔いるばかりであった。気持ちの整理がつかぬままに、新たな敵勢力の情報が入り、自分のことを考える暇などありもしなかった。そして何かをしなければやっていられなかったそんな状況の中、彼の黄泉還りに出会った。このタイミングに現れるということは、ほぼ間違いなく自分が黄泉還らせていると気付くのに時間はかからなかった。――確かにこれは離れ難いと感じるのも無理はない、そう強く感じた。彼と話した時間は長くなかったが、しかし今の彼が語ることが全て真実であるとは思えず、最も聞きたかった今際の話は覚えていないことは知っていたために何かを話すことも出来ず、ただ彼一人を残して家を出た。それから間も無く島内の様子が一変、暴徒と化した島民が友人たちを害さんとし、道具として扱うという島の意思を知る。許せるはずもなかった。彼らと過ごした時間は短いかもしれないが、心から友と呼べる、呼びたい存在である彼らを守るため、戦うことを決意する。


4話　Heartless Memory
　オモイデ様の迷宮。そこで出会ったのは、島で出会い、道を違えた人たちの抱えていた「本当の気持ち」だった。執着心、責任感、罪悪感――。本当の気持ちと知ることのできなかった真実と向き合い、この島で起こってしまった多くのことは、決して故意に起こったものではなかったことであったと知ることとなる。黄泉還らせた彼が知り得ず、聞くことのできなかった真実を知り、己の無力を酷く恨んだ。半端者の自分には荷の重い席であったと後悔した。しかし彼はそれを責めることなく、それどころか「自分の息子であったなら」、とすら言った。深く、深く尊敬した。人の心の機微を感じ取り、最も必要な言葉をかけて心に寄り添う力、これこそが本当に強い人間なのだと思った――彼はそれを認めることはないのだろうが。


5話　Stand by Me
　プランナーが引き起こした“プラン・ハートレスメモリー”により、世界中のレネゲイドビーイングがそれぞれに黄泉還りを引き起こす事態となり、その事件解決の糸口はプランナーを倒すこと、それだけだった。一刻を争う事態と、島にいる自分達で解決するしかない現状。課された使命はあまりに大きなものであったが、使命感ではない、この島に来たときでは考えられないような立ち向かう意志を強く、確かに抱いていた。強大な敵であることに間違いはないが、この島で生きた、生きたかった人々を己の目的の駒としてしか見ないような相手に、負けるわけにはいかなかった。


後日譚
　事件解決後、一度は戻りたいと挫折しかけたが、この島で戦わなければならなかった彼らのためにも、島を守るために残ることを決めた。いつかまた奇跡が訪れたときに、同じ悲劇を生まないために、この穏やかな島を守りたいと思った。島の人々に受け入れられるにはまだ時間はかかるかもしれない、しかし時間は十分にある。今までのように少しずつ、着実に受け入れられるように努力しながら、今日も穏やかな日々を送る。