政界に強い影響力を持つ五十嵐家の四女
五十嵐家は様々な情報に通じており、当然オーヴァードについても知っている
10人きょうだいの末っ子であり両親や兄姉、五十嵐家の使用人など周囲の人々に愛されていた。
だが次期当主の長男には政治の道具としてしか見られていなかった。
代替わりの後に当主になった長兄に五十嵐家のさらなる繁栄のためにオーヴァードになることを命じられる。
祀の10歳の誕生日に、どのような経緯で手に入れたのかαトランスに類する薬品(誕生日プレゼント)を強制的に使用させられる。

強制的な投薬により、オーヴァードとして覚醒こそしたが、発症直後は制御が効かず暴走。衝動のままに暴れまわった。
その結果、祀の覚醒の(新たな力を手に入れる)瞬間を見に来ていた長兄および長兄派の重鎮たちが巻き込まれ死亡。
権力を自身に集中させ始めていた新当主である長兄の死亡により、五十嵐家には大きな被害が出ることとなった。
これにより五十嵐家は力を失ったが、残りのきょうだいや関係者の尽力。培った人脈などを駆使し、状況を建て直しつつある。
五十嵐家に甚大な被害を及ぼした祀には、勘当とい当時10歳の子供に対しては非常に重いが、当主を殺し家を傾ける原因となった者に対しては格段に軽い処分が下され、五十嵐家を追放。戸籍上の『五十嵐 祀』は急病により死亡と処理された。

追放後、天涯孤独になったがオーヴァードとしての力を時に振り回されながら利用し、小柄な体躯を活かして情報屋紛いのことをやって裏社会で生き抜く。そんな生活を5年ほど続けていた時、神城早月にその能力を見初められ、衣食住の代わりに依頼があれば働くビジネスパートナーの関係になった。
今では生活基準だけでいえば人並みの生活を過ごしているが、幼少期の劣悪な環境のせいか発育が悪くかなり小柄。
神代早月お抱えの探偵と言う名の情報屋として各地を飛び回っているため固定の拠点というものを持っていないが、戸籍上の住所として神代早月に与えられたN市にある神代フーズの社員寮の一室がある。
最近はN市周辺で動く事も多いので重宝している
学校？あぁ、普通の人が行けるっていうアレね。行ったことないや

超振動してる乾電池を射出し相手の肉体を貫くという、乾電池を武器として遠距離攻撃を行う戦法を好む。
実際は乾電池がなくとも同じような攻撃は出来るけが、「分かりやすい武器」があった方がそっち警戒するし、飛び物使いが弾切れになったら油断するよねの精神で使用している。
電池を武器として愛用するようになったのは追放されたばかりの頃に路地裏で使いかけの乾電池を拾ったのがきっかけ。
ブラックドッグの能力故か己だけの特性かはわからないが、乾電池から発生した電気を増幅したり自身に取り込んでエネルギーにすることが出来た。無論それは活動に必要なエネルギーの全てを電気で補えるという訳ではなく、発電細胞が活性化することによる微弱かつ一時的な身体強化によるものだろう。
それでも、頼れる者がいない裏社会で生きることを突如強いられた幼き日の祀にとってはとても心強い味方だった。
それ以来電池はお守り替わりであり、人並みの生活を手に入れた今では電池のコレクションが数少ない趣味となっている。
住居として与えられている神代フーズの社員寮の一室は半ば電池のコレクション部屋となっている。

コードネーム《逆雷の饗宴(スカーサ・ロトクレエ)》は祀の代名詞とも言える得意技から来ている。
超振動で堅牢な装甲をも容易く貫く乾電池を広範囲にばら撒き、着弾直後に乾電池経由でため込んだ雷を全力で放電させる。
電池が無くても大気を振動させ作りだした空気の弾丸を使っても使用可能なので、ここにおいても乾電池はブラフである。
堅牢な装甲を貫き体内に埋まった電池から溢れ出る雷が哀れな被害者の肉体を焼き焦がす
弾ける雷のリズムと被害者の絶叫も相まって、その様子はまるで地から天に昇る逆さ雷の饗宴のよう

・戦闘適性：C
・継戦能力：C
・命令順守：B
・陣頭指揮：C
・社会適性：A
・RC技術：A
・衝動耐性：B
・特異能力：D

身体検査の結果、ハヌマーンに比重が偏っている《亜純血(デミブリード)》であることが発覚
ハヌマーン/ブラックドッグのシンドロームを持つクロスブリードのオーヴァードではあるようだが
ブラッグドッグのエフェクトを持たず、体内の発電細胞も電気をため込み僅かに増幅させるだけで発電は行っていない
あえて呼称するのであれば蓄電細胞とでも言うべきその細胞群は、使用され続けた結果か蓄積量に優れているようだ
とは言え、それはこの検査を経て初めて発覚した事実であり、それ以外にブラッグドッグとしての能力は確認出来ない
おそらく、精密検査を行わなければ落ちこぼれのピュアブリードと認識されていたに違いない
本人が語る「乾電池で元気になる」のは微量な電気をため込み微増幅、身体強化を行っているためだと思われる
空腹が紛れているのは恐らく、身体強化とそれに伴う脳内麻薬による感覚の麻痺、そしてプラシーボ効果だろう
オーヴァードの特定の性質のみを強化する薬品の開発を目的に行われた本実験では、彼女の特性である蓄電細胞を対象として能力の拡張、強化を目的としている。投薬およびレネゲイドウイルスの強制活性化により、肉体の変質、定着を試みる

実験の結果、蓄積量および増幅量の拡大を確認。微量な電流を基に膨大な電気エネルギーに変換することが可能になった
しかし、やはりと言うべきか最大の問題点として自らの意志で発電を行えないという欠点が目立つ
ほかのブラッグドッグオーヴァードは多少の差異があれど自身の生体電流を増幅しているが、どうも蓄電細胞には自身の生体電流を増幅する機能は無く、外部から電源となる何かしらを取り込まなくてはならないようだ
解決策として、他のブラッグドッグシンドロームのオーヴァードの発電細胞の移植を試みる
もしもこの移植した細胞を入り口に生体電流の増幅が行えれば、それはもはや立派なクロスブリードと言って差し支えないだろう
実験の主旨とズレてきている気がするが、オーヴァードの人工強化という観点で言えば的外れとも言い切れない

移植の結果、生体電流の増幅を確認。それはいいのだが、少し妙なことになっている
移植した細胞は元の細胞と馴染むことなく、体内で結晶化しているのが確認されたのだ
どうも、その結晶を経由することで生体電流は外部の電源と認識されるらしく、蓄電細胞による増幅を行う事が出来るらしい
加えて異物に対する拒絶反応により促進が促されたのか、蓄電細胞の性能向上が確認されている。これはうれしい誤算だ
元々微弱な蓄電細胞しか持たなかった彼女は実験の結果、蓄電細胞の大幅な性能向上に至った
それこそ、瞬間的とはいえピュアブリードのブラッグドッグシンドロームをも超える発電量/蓄電量を誇っている
長時間の維持は出来ないようだが、その分一瞬の爆発力は筆舌に尽くしがたい

驚くべきことに、彼女は大の大人でも発狂する様な過酷な実験を耐え抜いた。その精神力、あるいは執念は称賛に価する
実験後の各種テストも無事突破。予後不良も見受けられない。実験はうまくいったと言っても過言ではないだろう
目的のデータは十二分に得られた。それどころか、予想もしていなかった新たな可能性すら見出すことが出来た
一時的に生体電流を増幅、体外排出せずに流すことで瞬間的な能力強化を行えるようになったのは想定外だが、問題は無い
実験の終了に伴い、契約に従い新たな戸籍と生活基盤を彼女に提供する。おめでとう。新しい人生の始まりだ
だが、神城は提供するだけだ。その維持、および経過観察に見合わないと判断されれば、どうなるかは想像に難くない
まぁ我々としてはこの実験を乗り越えた数少ない存在、《選ばれし者(ゲイナー)》の経過には注目している
早々に切り捨てられない事を祈る

捕捉、とするまでもない事だが、精神衛生(ジャーム化)に関わる可能性があるので記述しておく
非検体……『五十嵐 祀』は戸籍上死亡しており、今の彼女は戸籍上は『風見 遥(かざみ はるか)』という人物である
それは承知の上のはずだが、彼女は今も『五十嵐 祀』を名乗り、『風見 遥』の名を使う事はほとんどない
この行動についての推測だが、実験中にうわごとで「パパ、ママ」と呟いていたという報告がある
そのため、彼女のとって両親は大切なロイス、スペリオルロイスであり、その繋がりを手元に置いておきたいのだろうか
もしも今後、彼女が大きな事態に直面したとき、そのロイスが精神を保つための重要な要素になるだろう

・戦闘適性：B++
・継戦能力：C
・命令順守：A+
・陣頭指揮：B
・社会適性：C+
・RC技術：A－
・衝動耐性：B+
・特異能力：EX

《P./N.》

コンボ名：廻風流転《かいふうるてん》
構成：《援護の風》+《ウィンドブレス》

コンボ名：穿つ旋風《かざぐるま》
構成：《コンセントレイト：ハヌマーン》+《振動球》

コンボ名：逆雷の饗宴《スカーサ・ロトクレエ》
構成：《コンセントレイト：ハヌマーン》+《振動球》+《マシラのごとく》+《神速の鼓動》+《選ばれし者》