シベリアの田舎の村の普通の娘として生まれる。
彼女は身体もあまり強くなく、内向的な人間だった。父は戦場で既に亡くなったとかで顔も覚えていない。
そんな彼女は母親と二人で貧しいながらも幸せな生活を送っていた。
そして、彼女は母親が大好きだった。
数か月に一度母の焼いてくれるケーキが好きだった。たまに母と出掛けるピクニックが好きだった。

ある日、村に見知らぬ大人が来た。変わった服を着ていて、一つ一つに家を回って何かを調べていた。
街から来た医者だという彼らは、身体の検査をすると言った。

それからしばらくして、村の周辺で奇病が逸るようになった。
それは、突然本人の意思に関係なく暴れ出すというものらしい。
余りにも手が付けられない時は、その医者たちが"処置"したとか。
彼女は家に籠って怯えることしかできなかった。しかし、その時はやってきた。
母親が"感染"したのだ。彼女は奇跡に縋った。母を助けてくれるよう、神に祈った。
結果として、母親は医者によって"処置"された。

その後、彼女は他の子どもたちと共に施設へ連れていかれた。
なかでも彼女は特異な体質も持ち主だったらしい。研究者は嬉々として次々に実験を繰り返した。
これで多くの人を救われる。これで謎が解明される。様々な言い分で彼女に薬物を投与し、メスを入れた。

更には、彼女のデータを集めるため、多くの実験体がどこからか連れてこられた。
その中には、彼女自身が奪った命もあった。

実験の過程で、彼女は空間を操る力を手にした。
人の身に過ぎたその力は、彼女にとっては神様からの贈り物であった。
彼女はその力で"仕返し"をしようとしたが、上手くはいかなかった。その矛先をその大人たちに向けることは出来なかった。

全てを諦めたその時、"彼"が現れた。
"彼"は彼女に自由を与えた。

彼女は神様が遂に復讐の機会をくれたと思った。
彼女は自分を解放してくれた"神の使い"に着いていくことにした。


自分や仲間に苦痛を強いた地上に蔓延る虫けら（人類）を滅ぼす為に。