彼は以前UGN日本支部に所属していた。一般人との共存を行動理念とするUGNは彼にとって窮屈な場所のようにも思えたが、FHのようなテロやオーヴァードの開放に微塵も興味を抱いておらず、何不自由なく現代を生き適度に能力を発散してお金も手に入るのでとりあえず身を置いているらしい。

UGNに来てから何年か経ち、彼には直属の部下ができた。
部下は大した戦力も無く、自身をただの「ニンゲン」と変わらない存在だと信じておりオーヴァードとして半端者であると、部下とはその件でよく言い争ったが、アトラスの知らない「ニンゲン」の良さや「感情」というものについて、理解は出来ずとも多くを教わる。そんな部下はアトラスに恋心を抱いていたが、そもそも「恋というもの」が何なのか、何故自分を慕う気持ちが生まれるのか、到底理解できる筈もなく、告白を受けるたびに容赦なく振っていた。

そんな部下と良くも悪くもない日々を過ごしていたある時、事件は起きる。彼を心から慕う部下が任務中の戦闘によりジャームと化してしまったのだ。部下は「ニンゲン」に憧れオーヴァードと「ニンゲン」に違いはないと信じ誰よりもジャーム化してしまう事を怖れていた。そして、彼に「もし、自分がジャームになってしまった時は殺してほしい」という願いを託されていた。

結果、彼はその部下を無残に殺害するという事件を起こした。
部下の願いを聞き入れたかったのか、「ニンゲン」でなくなった彼の姿を見てやるせなく思ったのか、理由は分からないがその時の彼は衝動のまま部下を嬲り殺したそうだ。

自身に付き慕っていた部下を嬲り殺した彼を日本支部の上層部や同僚は忌避し、「無情のオーヴァード殺し」と揶揄されるようになってしまう。それを見兼ねてか霧谷雄吾の提案によりN市支部の支部長を任される事となった。

しかし、N市支部の中でも彼が仲間のオーヴァードを情も無く惨殺したという噂が一部の人間には広まっており、怖れられているが、本人はその様子を鬱陶しいと思いつつ気にはしていない。