とあるチャイニーズマフィアの構成員である父親、その幹部である母親の元に生まれる。幼い頃から裏社会を見て育ち、その道の人間として生きることを教えられた。父親は抗争によって、ベルフェゴールが10歳の頃に死亡している。

17歳の時、母親の命令でオーヴァードに覚醒させられ、醜くも強力な力を得た。それを喜んだ母親に、コードネームと新たな名前を授けられる。それ以降、子供の頃の名前で呼ばれることは無くなった。

汚れ仕事ややりたくもない訓練、望まぬ力に向けられぬ愛情。損得勘定で作られた命。それを当たり前と信じて疑わない組織の人間たち。それら全てに嫌気が差し、たった一人で自身が所属していた組織を壊滅、幹部共々皆殺しにした。

それ以降は憑き物が落ちたかのように、はぐれのオーヴァードとして生きている。殆どは寝たり、ぼーっとして過ごしている。

家族に対する愛情なども特になく、仲間と呼べるような存在もいなかった。孤独であったが、どこかそれを良しとしていた。人といるのは疲れるからだ。何かを望まれるから。もう、それは嫌だった。何もしたくない、が、生きるためには何かしなければならない。
今日も今日とて、仕方なしに汚れた世界で生きている。

行動することや考えることに疲れてしまい、何もせず、考えず、ぼーっとしていることが望み。何ならいっそ眠りたい。眠っていたい。死んでしまうのも、悪くは無い気がするけれど。それはなんだか嫌だった。どうせなら、あいつらよりも……やっぱいいや、面倒くさい。

童貞処女。

6i ベルフェゴールのカイツール（Kaitul、醜悪）