容姿・経歴・その他メモ

　洒落っ気がなく、無造作ないで立ちに関わらず、素で人目を引く容姿。
　背が高くて、余計なものがないものは、華美でなくとも清廉に映る。
　見た目通りに淡麗で、見た目通りに鋭利。

　私の家は両親が共働きで、歳が近い姉と兄がいた。
　両親の前ではいい子に振る舞っていたけど、姉と兄はいつも私を玩具にして遊んでいた。
　二人は本当に遊んでいるつもりだったんだろうね。私の人間らしい心を壊している事にも気付かないままでさ。
　だから、身体が大きくなったから、やり返した。やられたら、やり返す。自分の番が怖いから、やり返されないように最後までやった。
　帰って来たら両親をどうしようか考えたけど、逃げた。やられてはいなかったと、あの時は思っていたから。

　一度弾けたら、もう何も我慢する気が起きなかった。
　奪って、逃げて、追ってくるやつは、追ってこれないようにしてやる。
　何でかわからないけど、そんな私を褒めてくれる大人がいた。
　桐原啓二。変な大人。何でもくれて、何もしてこない。
　何もされないから、何もしてやらなくていい。変だ。
　守られてなんかないけど、奪い取らなくても与えてくれるから、逃げなくてもいいのかな。
　そう思ったら、やっとぐっすり眠れた。間違いだった。
　アタマの中に、AIDAを植え付けられて、もう私は一人になれなくされた。
　やられたらやり返す。やり返されないように、徹底的に。
　なのに、どんなに滅茶苦茶にしても、どんなにバラバラにしても、マスターは生きていた。
　生きて、褒めてくれた。どうしたらいいのか、わかんなくなった。
　お腹は空くし、眠くなるし、力尽きて眠った。

　そのまま、私は飼われている。
　いつか、殺す。マスターもAIDAも。
　それまで、殺さずにいてやるか。

・経歴
　N市各所で、派遣会社の登録アルバイトとして出没するバイト戦士。
　イージーエフェクトは運び屋にも逃し屋にも誘拐にも向いており、様々な用途で各所のセルに招聘されては便利使いされて来た。
　それは後述する彼女を拾ったマスターエージェント、桐原啓二の情報収集や監査の下調べを兼ねてもいる。

・過去
　オーヴァードとなる前に家族を殺し、表社会に居場所をなくして放浪しているところを、FHに拾われた。
　マスターキラー桐原啓二は、言うまでもなくレネゲイドウィルスの素体にする使い捨てのつもりで拾っただけだが、AIDAの移植に耐えた少女に名を与えた。

・人物像
　オーヴァードとなる以前の方が破滅的で衝動的、人間関係の閉じ方が殺害しか存在していなかった。
　戦術AIであるAIDAは自我が希薄とはいえオーヴァードの精神の残滓であり、少なからず悦子の精神を安定させている。
　桐原啓二の不利益となる言動はAIDAに抑制され、結果的に悦子に欠けている知識や論理的思考が補強されている。
　本来の彼女は孤独に怯えながらも他者を信じられず、相手が物言わぬ亡骸と化して初めて安堵ができるのだ。
　その衝動をAIDAが抑制すると同時に、AIDAの存在が悦子を孤独にしない。
　それによりどうにか、ぶっきらぼうで口数が少ないという印象に収まっている。

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