あなたは【鳥】を夢見ただろうか？
空へ飛び立てることは、どれほど心地がいいのだろう？
彼らの住む世界は、｜翼の無いモノ《我々人類》と、どれほど違うのだろう？
どれ程の間、空へ身を投じなければいけないのだろう？

そんなものは、科学で証明された
生物学で証明された
現代において、もう解き明かされたものだった。

【生息地を拡大するため】
【餌を得るため】
【狩人から逃げるため】
【適した気候のある地域へ飛ぶため】

あなたに一つ問いたい。

鳥たちは、いつ自由に飛べるのだろう

生きるために飛ぶのは、我々の夢見た鳥なのだろうか

この人間は、いつまでも鳥を夢に見た。
青空を賭ける速き羽根
その風を肌に受けながら飛ぶ
それは人には叶わぬこと

じゃあ、その願いがもし叶ったら？
満足するだろうか？
心は満たされるだろうか？

空へは、飛べるのだろうか？

さて、鳥は夢を見れない

彼は鳥になろうとした
ただ、鳥は自由ではない

彼が悪夢から逃げるためには、薬をやめないといけない。
薬をやめれば、周りからすべてが奪われる。

彼は他人を信じれない瞳をもらった
一人になれば寂しさと悪夢が精神をむしばむ
他人とかかわれば信用が消えてゆき、いずれユメ見た時朽ちる。

自由になるためには、ユメを見ず、人と関わらない生き方を要求される。

薬がなければ悪夢が現実となり、心が通った人たちが死んでゆく。


いつしかそんな自分に嫌気が差してくるだろう。

自ら翼を折ろうと火をつけようとするけど
孤独感がそれを許さない



いつだろうね？
彼が鳥籠から出て、自由意志で空を飛ぶことが叶うのは･･････

今目の前で、全てがトンでいる。
まるで楽しそうに、顔を歪め、何もかもを殺さんとする勢いで
楽しく

楽しく

楽しく

楽しく

「ねぇ、笑おうよ？」
ニコリと嬉しそうに笑いかけた顔が

ぐりんっと、両目がひん剥き　　　　　　　　　　　　　　　　　　

歯軋りをして

腕の筋肉は真紅の身を外にはだけだす　　　　　　　　　　　　　　　　　　

目の前で妖を貪って

楽しそうに、哂っていた　　　　　　　　　　　　　　　　　　

ほら、大切な人がまた

眠れぬ夜がまた続く。
見たこともないことだ。
あり得ないことなのに
あのユメはずっと追ってくる

「･･････ふぅ」
目の前の薬に目をやる。
【謔ｪ螟｢縺ｮ隱倥＞】
ラベルのつぶれた薬を呑み込む。
これは研究員の産物だ。
そして、俺の生命をつなぐものでもある。

夢遊病
俺の患っている病気だ。
本来なら、俺はこんな病気持っていなかった。
遠い過去のことだ。
俺はひょんなことからジャームとの戦闘に巻き込まれたのが原因。

お前らにはわからないだろう
目の前で
ジャームへと変貌を遂げた家族、友達、知り合い
親戚近隣大人子供猫も犬も木や遊具でさえも

すべて｜変わって《おわって》しまった



さびしいよ･･･

「おい！何があった！」

･･････？
こ え が き こ え う

「お、おい！ってその目は･･････！？」

す こ し ・ ・ ・ し ず か に

「誓約の瞳だ！きんきぁ･･････？こぇ･･･あっ･･････？」



本来、夢の間に意志などないはずだ。
誓約の瞳は見つめたモノの意志を支配する関係上
どうしても見つめたモノの意思が強い場合は支配できない。

ただ、彼だけは違う
彼は悪夢と夢遊病の兼ね合わせにより、意志すら塗り替えてしまう

この瞬間、彼の住む村は崩れて去った。
何も残らず
何もわからず



ユメを見た。

狂気のユメだ。

「ーーー？遊ぼうよー」

笑顔で誘ってくれる家族の一人？

彼らは楽しそうにしている。

食事をして、じゃれ合って

話し合って、感情を自然に露らにする。

肉を引き裂き、喉が張り裂けるほどの豪声をだし

阿鼻叫喚　死屍累々の屍が積もる

あぁ･･････やめてくれ･･･