キミはＵＧＮ・二紬支部の支部長を務めている。いや、「務めていた」というべきだろうか。
《絆の破壊者》の狙撃により記憶とオーヴァードとしての能力を一時的に失っている。
記憶を失う前、見谷衛(みたに・まもる)はキミにとって大事な存在だった。

記憶を失う前の十彩のコードネームは《葉見ず花見ず(リコリス)》。
冷徹かつ好戦的な性格で、ジャームの存在を憎悪していた。
その理由は13年前、ジャームによって自身と絵十が共に襲われたからである。
十彩はその際にオーヴァード化したが、絵十は負担に耐え切れずジャーム化し、理性を失って十彩に襲い掛かった。十彩はとっさに反撃し、自身の手で絵十を殺めてしまう。
その後、エージェントになった十彩はひたすらにジャームを狩り続け、強くなるために身を削り続けた。賢者の石を研究し、デミクリスタルを埋め込んだのもそのためである。
功績が認められ、支部長に就任した後も前線に立ち、侵蝕率の上昇も気にせず、楽し気にジャームを蹂躙する姿を見せていた。

一方、同支部のエージェントである見谷衛の外見や性格が弟に似ていることから、絵十の面影を重ねていた。
自ら訓練を付けるなど、冷たい態度を取りながらも気にかけており、滅多に見せない笑顔をたまに見せていた……かもしれない。